STS-51-J

STS-51-J：アトランティス初飛行と国防総省ペイロードの軌跡

STS-51-Jは、アメリカ航空宇宙局（NASA）のスペースシャトル計画において重要な位置を占めるミッションです。スペースシャトルアトランティスの記念すべき初飛行であり、1985年10月3日にフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられました。ミッションの主要な目的は、アメリカ国防総省のペイロードを宇宙へ輸送することでした。

ミッション概要

打ち上げ日時: 1985年10月3日 11時15分(EDT)
着陸日時: 1985年10月7日 13時00分(EDT)
着陸場所: エドワーズ空軍基地 第23滑走路
飛行時間: 4日1時間45分

乗組員

STS-51-Jには、以下の5名の宇宙飛行士が搭乗しました。

船長：カロル・J・ボブコ (3)
操縦手：ロナルド・グレーブ (1)
ミッションスペシャリスト：デヴィッド・ヒルマーズ (1)
ミッションスペシャリスト：ロバート・リー・ステュアート (2)
ミッションスペシャリスト：ウィリアム・ペイルズ (1)

バックアップ要員としてマイケル・ボーエンが選ばれていました。

ミッションの目的とハイライト

STS-51-Jの主な目的は、2つのDSCS-III（Defense Satellite Communications System）衛星（USA-11とUSA-12）を静止軌道に投入することでした。これらの衛星は、X帯の周波数（8/7 GHz）を使用し、設計寿命は10年とされていました。しかし、実際には設計寿命を大幅に超えて運用されたものもありました。

打ち上げは、メインエンジンの液体水素バルブを閉じる遠隔制御装置の問題により、22分30秒の遅延が発生しました。制御装置が誤って「オン」と表示されたことが原因でした。この遅延にもかかわらず、ミッションは全体として成功と見なされています。

ミッションパラメータ

質量:
着陸時: 86,400 kg
ペイロード: 19,968 kg
軌道:
近点: 475 km
遠点: 484 km
軌道傾斜角: 28.5°
* 軌道周期: 94.2分

特筆すべき点

STS-51-Jの成功により、船長のカロル・ボブコは、3つの異なるオービタで宇宙へ行った初の宇宙飛行士となり、また2つの異なるオービタの処女飛行を経験した唯一の宇宙飛行士となりました。

まとめ

STS-51-Jは、アトランティスの初飛行として、また国防総省の重要なペイロードを運搬したミッションとして、スペースシャトル計画における重要な一歩となりました。技術的な遅延があったものの、ミッションは成功裏に完了し、宇宙開発の歴史にその名を刻みました。

出典:
NASA mission summary - ウェイバックマシン（2001年1月10日アーカイブ分）
Into The Black: NASA’s Secret Space Shuttle Missions 2012/1/29 Americaspace.com

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