STS-61-B

STS-61-B：アトランティス2回目の飛行 - 3機の通信衛星放出と宇宙ステーション建設技術の試験

STS-61-Bは、アメリカ航空宇宙局 (NASA) のスペースシャトル計画における23回目のミッションであり、アトランティスにとっては2回目の飛行となりました。1985年11月26日にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、数々の重要な成果を上げました。

ミッション概要

このミッションの主な目的は、3機の通信衛星の放出と、宇宙空間における構造物組み立て技術の実験でした。乗組員はAussat 2、Morelos II、Satcom K2の3機の通信衛星を静止トランスファ軌道へ投入することに成功。また、EASE/ACCESSと呼ばれる実験では、宇宙空間での大型構造物の組み立てに関する技術的な課題と可能性を探りました。

特筆すべきは、このミッションにメキシコ人初の宇宙飛行士であるロドルフ・ネリー・ヴェラが参加したことです。彼は、主にヒトの生理学に関連する実験や、地球観測のためのメキシコ地域の写真撮影を担当しました。

アトランティスは6日間と21時間のミッションを終え、1985年12月3日にエドワーズ空軍基地へ無事着陸しました。

ペイロード

通信衛星

Aussat 2: オーストラリアの通信衛星シリーズの2号機。
Morelos II: メキシコの通信衛星シリーズの2号機。
Satcom K2: RCA社の通信衛星。

これらの衛星は、それぞれ異なるブースターを用いて静止トランスファ軌道に投入され、各国の通信インフラを支える役割を果たしました。

ミッドデッキのペイロード

Continuous Flow Electrophoresis System (CFES): 微小重力下での薬品開発を目的とした装置。
Diffusive Mixing of Organic Solutions (DMOS): 地上よりも大きく純粋な単結晶の成長を目指す実験。
Morelos Payload Specialist Experiments (MPSE): ロドルフ・ネリー・ヴェラが担当した、ヒトの生理学に関する実験。
Orbiter Experiments (OEX): オービタの性能や宇宙環境に関するデータ収集。

これらの実験は、微小重力環境を利用した科学研究の可能性を広げました。

乗組員

船長: ブリュースター・ショウ (2)
操縦手: ブライアン・オコナー (1)
ミッションスペシャリスト1: シャーウッド・スプリング (1)
ミッションスペシャリスト2: マリー・クリーヴ (1)
ミッションスペシャリスト3: ジェリー・ロス (1)
ペイロードスペシャリスト1: チャールズ・ウォーカー (3)
ペイロードスペシャリスト2: ロドルフ・ネリー・ヴェラ (1)

船外活動

ジェリー・ロスとシャーウッド・スプリングは、宇宙ステーション建設で使用される組み立て技術を実証するため、2回の船外活動を実施しました。

1回目: 11月29日、5時間32分
2回目: 12月1日、6時間41分

これらの船外活動を通じて、宇宙空間での作業における課題や必要な技術が明らかになりました。

アトランティスの準備

STS-61-Bの打ち上げは、STS-51-Jの着陸からわずか54日後という、オービタの再利用期間としては最短記録を達成しました。これは、スペースシャトルの運用効率が向上したことを示すものでもあります。

まとめ

STS-61-Bは、通信衛星の放出、宇宙ステーション建設技術の実験、そして国際的な協力という、多岐にわたる成果を上げたミッションでした。このミッションで得られた知見は、その後の宇宙開発に大きく貢献しました。

もう一度検索