STS-91

スペースシャトル STS-91：ミールとの最後のドッキング

STS-91は、スペースシャトルがミール宇宙ステーションを訪れた最後のミッションであり、歴史的なフェーズ1計画の集大成となりました。1998年6月2日にディスカバリーによってケネディ宇宙センターから打ち上げられ、様々な成果を上げました。

ミッション概要

スペースシャトル: ディスカバリー
打ち上げ日: 1998年6月2日
打ち上げ場所: ケネディ宇宙センター

乗組員

船長: チャールズ・プリコート (4)
操縦手: ドミニク・パドウィル・ゴーリー (1)
ミッションスペシャリスト: ウェンディ・ローレンス (3)
ミッションスペシャリスト: フランクリン・チャン＝ディアス (6)
ミッションスペシャリスト: ジャネット・L・カヴァンディ (1)
ミッションスペシャリスト: ワレリー・リューミン (4)
ミッションスペシャリスト（帰還時）: アンディ・トーマス (2)

ミッションパラメータ

質量: 117,861 kg
ペイロード: 16,537 kg
近点: 350 km
遠点: 373 km
軌道傾斜角: 51.7°
軌道周期: 91.8分

ミッションのハイライト

ミールとの最後のドッキング

STS-91は、スペースシャトルとミールとの最後のドッキングミッションとして、フェーズ1計画の重要な節目となりました。この計画は、国際宇宙ステーション（ISS）の建設へとつながる重要なステップでした。

超軽量外部燃料タンクの初使用

このミッションでは、初めて超軽量スペースシャトル外部燃料タンクが使用されました。このタンクは、以前のものと同じサイズ（長さ47m、幅8.2m）でしたが、約3,400kg軽量化されていました。アルミニウム-リチウム合金で作られ、構造は密度が5%小さく、強度が30%向上しています。水素タンクの壁には、直角のワッフルのようなデザインが採用され、強度と安定性が向上しました。これらの改良により、ISSでのペイロード搭載能力が向上しました。

物資の輸送と実験

1998年6月4日、ディスカバリーはミールとドッキングし、ハッチが開かれました。アンディ・トーマスはディスカバリーの乗組員となり、130日間のミール滞在を終えました。7人のアメリカ人宇宙飛行士による合計907日間に及ぶミールへの長期滞在も終了しました。その後4日間で、ミールの第25次長期滞在クルーとSTS-91の乗組員は、500kg以上の水、約2,130kgの実験用品と補給品を運び込みました。ミールで行われていたアメリカ側の実験機器は、ディスカバリーのミッドデッキに移されました。

ドッキング解除と帰還

6月8日、ドッキング解除のためにハッチが閉じられ、宇宙船が分離し、スペースシャトルとミールとの最後のドッキングミッションが完了しました。

アルファ磁気分光計（AMS）の試作品

STS-91は、暗黒物質の探索を目的としたアルファ磁気分光計（AMS）の試作品を宇宙に運びました。AMSは飛行初日に起動されましたが、ディスカバリーのKU帯通信システムの不調により、データは宇宙船のレコーダーに記録されました。その後、乗組員はS帯とFMの通信システムをバイパスさせ、地上局との通信を確立しました。

通信システムのトラブル

KU帯通信システムの故障により、テレビ映像の送信ができませんでした。ミールからのテレビ放送も、ロシアの地上局とモスクワ郊外の地上管制局との間の問題で不可能でした。

STS-91は、スペースシャトルとミール宇宙ステーションの協力関係を締めくくり、国際宇宙ステーション建設への礎を築いた重要なミッションとして、その名を歴史に刻んでいます。

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