S/2004 S 25

土星の第57衛星 Gerd（ゲルズ）について

Gerd（ゲルズ、仮符号 S/2004 S 25）は、土星の第57番目の衛星として知られています。この小さな天体は、2004年の観測データに基づいて、2019年に発見が報告されました。

発見と命名

Gerdは、スコット・S・シェパード、デビッド・C・ジューイット、ジャン・クレイナらの観測チームによって発見されました。彼らは、すばる望遠鏡を用いて2004年12月12日から2007年3月22日にかけての観測データからこの衛星を特定しました。発見報告は2019年に行われたものの、仮符号が「S/2004 S 25」となっているのは、データが2004年の観測に由来するためです。この観測では、合計20個の土星の新衛星が発見されています。

2021年8月10日、小惑星センター（MPC）は、Gerdに「Saturn LVII」という確定番号を与えました。さらに、S/2004 S 25を含む20個の新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星の固有名を一般公募することが発表されました。Gerdは北欧群に属するため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名称が与えられることになり、2019年10月7日から12月6日にかけて一般公募が行われました。

公募された名称案の中から選考が行われ、2022年8月24日に国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ（WGPSN）が、北欧群に属する10個の逆行衛星の正式な名称を公表しました。この発表により、S/2004 S 25は「Gerd」と命名されました。この名前は、北欧神話に登場する豊穣の神フレイの配偶者である女巨人ゲルズに由来しています。

特徴

Gerdは、直径が推定で約3kmという非常に小さな衛星です。この衛星は、軌道傾斜角173°という逆行軌道を持ち、土星の周りを反対方向に公転しています。また、北欧群に属しており、この群に属する他の小さい衛星と同様に、かつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際の破片である可能性が高いと考えられています。

これらの特徴から、Gerdは土星の衛星の中でも特に興味深い天体の一つと言えるでしょう。今後の観測によって、さらに多くのことが解明されることが期待されます。

もう一度検索