S/2004 S 30

ベリ (Beli) について

ベリ（仮符号S/2004 S 3|S_2004 S 30）は、土星の第61番目の衛星として知られています。この衛星は、2019年10月7日にスコット・S・シェパード、デビッド・C・ジューイット、ジャン・クレイナらの観測チームによって発見が報告され、小惑星センターのサーキュラーで公表されました。発見当初は仮符号S/2004 S 3|S_2004 S 30という名称が与えられていました。

発見の経緯

発見には、すばる望遠鏡が使用され、2004年12月12日から2007年3月21日の間に観測されたデータからこの衛星が確認されました。発見報告が2019年であるにもかかわらず、仮符号が2004となっているのは、観測データがその期間に取得されたためです。この一連の観測では、合計20個の土星の新衛星が発見されました。

2021年8月10日には、小惑星センター(MPC)が発表した小惑星回報「MPC 133821」で、この衛星にSaturn LXIという確定番号が付与されました。当初の発表では、データ生成時のミスにより、同じく土星の衛星であるGerd（S/2004 S 25|S_2004 S 25）と軌道要素の値が誤って同一であると報告されましたが、直後の別のサーキュラーで訂正されました。

名称の由来

S/2004 S 3|S_2004 S 30を含む20個の新衛星の発見が発表された際、これらの衛星の固有名を一般から公募することが発表されました。この衛星は北欧群に属するため、北欧神話に登場する巨人にちなんだ名称が与えられることになりました。公募は2019年10月7日から12月6日にかけて実施され、提出された名称案の中から選考が行われました。

そして、2022年8月24日、国際天文学連合の惑星系の命名に関するワーキンググループ(WGPSN)は、北欧群に属する10個の逆行衛星の正式な名称を公表しました。この発表において、S/2004 S 3|S_2004 S 30は「ベリ（Beli）」と命名されました。ベリという名称は、北欧神話に登場する神フレイによって殺された巨人ベリに由来しています。

特徴

ベリは、推定直径が約3kmと非常に小さな衛星です。軌道傾斜角は158°で、逆行軌道を持っています。この衛星は北欧群に属しており、さらにその中でもスカジ群という副群に分類されると考えられています。この群に属する他の小さな衛星と同様に、ベリもかつて存在した大きな母天体が衝突によって破壊された際の破片である可能性が高いとされています。

ベリは、土星の環の外側を公転しており、その小さなサイズと特異な軌道から、太陽系形成の初期段階における惑星形成過程を研究する上で貴重な手がかりを提供してくれると考えられています。

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