S/2004 S 36

S/2004 S 3|S_2004 S 36は、土星を周回する小さな衛星の一つです。2019年10月8日に、スコット・S・シェパード氏、デビッド・C・ジューイット氏、ジャン・クレイナ氏らの観測チームによって発見が報告され、小惑星センターのサーキュラーでその存在が公表されました。この発見には、すばる望遠鏡が重要な役割を果たしました。観測データは2004年12月13日から2006年2月1日にかけて取得されたもので、その中にS/2004 S 3|S_2004 S 36の存在が確認されました。発見報告が2019年であるにも関わらず、仮符号が「2004」となっているのは、この観測データが取得された時期に由来します。この一連の観測で、合計20個もの新しい土星の衛星が発見されたことは特筆に値します。

この衛星の推定直径は約3kmと非常に小さく、軌道傾斜角が155°の逆行軌道を持つことが特徴です。この軌道は、北欧群と呼ばれる土星の衛星群に属しており、さらにその中のナルビ群という副群に位置すると考えられています。また、軌道離心率は0.7484と非常に大きく、細長い楕円軌道を描いて土星を周回しています。この特徴的な軌道は、他の北欧群に属する衛星と同様に、かつて存在した大きな天体が衝突によって破壊された際に生じた破片である可能性を示唆しています。

S/2004 S 3|S_2004 S 36を含む20個の新衛星の発見報告と同時に、これらの衛星に固有名を付けるための一般公募が発表されました。この衛星が北欧群に属していることから、その名称は北欧神話に登場する巨人にちなんだものになると予想されています。一般公募は2019年10月7日から12月6日まで実施され、その後選考を経て、正式な名称が発表される予定です。なお、同様の衛星名の一般公募は、シェパード氏らのチームが2018年に発見した木星の衛星に対しても行われています。

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