Salix OS

Salix OSとは

Salix OSは、SlackwareをベースにしたLinuxディストリビューションの一つで、無償で提供されています。Slackwareの安定性を維持しつつ、より使いやすく、日常的な作業を効率化することを目指しています。

概要

2009年、Zenwalkの元ユーザー、貢献者、開発者たちが、オープンで協力的な環境を求めて、George VlahavasをプロジェクトリーダーとしてSalix OSを立ち上げました。Slackwareとの完全な互換性を重視し、その安定性を最大限に活用しています。互換性があるため、SlackwareユーザーはSalix OSのリポジトリにあるソフトウェアをSlackwareで使用することも可能です。

Slackwareの「シンプル」という原則は、主にシステムデザインを指しますが、Salix OSはこれを日常的な使用にも拡張解釈し、ユーザーがより迅速かつ簡単にシステムを使えるように設計されています。Salix OSは、LinuxやSlackwareに一定の理解があり、Slackwareの安定性を享受しつつ、追加ツールで作業負担を減らすことを厭わない「怠け者なSlacker」を対象としています。例えば、依存関係の自動処理、強化されたローカライゼーション、豊富なアプリケーションが用意されています。また、GUIとコマンドラインの両方で使えるシステム管理ツールも同梱されており、初心者でも比較的容易に利用できます。

デスクトップ環境

Xfce, KDE, LXDE, Fluxbox, Ratpoisonといった5つのデスクトップ環境が用意されています。Salix Ratpoison以外は日本語に対応しており、ibusやSCIMとAnthyを組み合わせることで日本語入力が可能です。mozcも非公式パッケージとして提供されています。

インストール

インストールCDは、各エディションごとに一枚に収められています。これは「一つのタスクに一つのアプリケーション」という設計に基づいています。i486/i686とx64の2つのアーキテクチャがサポートされており、それぞれインストールCDが用意されています。インストーラーはSlackwareに倣ったテキストダイアログ形式ですが、非常に使いやすい設計です。Spkgがインストール時にバックエンドで使われているため、フルインストールでも短時間で完了します。GUIでのインストールを希望する場合は、Salix Liveに同梱されているSalix Live Installerを利用できます。

Salix OSには3つのインストールモードがあります。

コアモード: 必要最低限のパッケージのみをインストールし、GUIアプリケーションは含まれません。主にWebサーバーやファイルサーバーなど、特定の目的のためにシステムをカスタマイズしたい経験豊富なユーザー向けです。
ベーシックモード: コアモードに最低限のデスクトップ環境を追加したもので、Webブラウザ、システム管理ツール（GUIとコンソール）、Gslaptパッケージマネージャーがインストールされます。軽量なデスクトップ環境をベースに、アプリケーションを自分で選択したい上級者向けです。
フルモード: ベーシックモードに加えて、日常利用に必要なアプリケーション（Claw-mail、LibreOffice、Java Runtime Environment、Paroleメディアプレーヤーなど）がインストールされます。「一つのタスクに一つのアプリケーション」という設計に基づいて選ばれています。

どのモードを選んでも、開発環境は完全に整っており、追加パッケージのインストールは不要です。

パッケージ管理とシステム管理

パッケージ管理には、slapt-getが使用されています（GUIフロントエンドはGslapt）。Slackwareの.tgz/.txzパッケージ形式をそのまま利用でき、依存パッケージも自動的にインストールされます。slapt-get（gslapt）を使えば、依存パッケージリストやパッケージの説明も確認できます。Slackware用にコンパイルされたパッケージは、互換性があるためSalix OSでも問題なく使用可能です。

システム管理はSlackwareと同様の方法で可能ですが、Salix OS独自のツールも用意されており、GUIとコンソールの両方でシステム管理が可能です。

ライブCD

Salix Liveは、Salix OSのライブCD版です。ハードドライブにインストールしなくても、Salix OSを試すことができます。GUIインストーラーも同梱されており、ライブCDから簡単にハードドライブにインストールできます。ハードウェアとの相性を確認するのに特に便利です。Salix Live Installerは、Salix OSと同様に好きなインストールモードを選択できます。

ライブCDには、LiveCloneというGUIアプリケーションも含まれており、Salix LiveCDをCD-ROMやUSBキーに作成できます。また、LILOブートローダーの問題に対応するためのレスキューキットや、パーティションツールなど、Salix OSにはない機能も含まれています。

開発

Salix OSの開発は、オープンかつ協力的におこなわれています。ソースコードはSourceforge SVNで公開されており、アプリケーションの翻訳はTransifexを利用しています。

ドキュメンテーション

Salix OSに関する情報は、Salixウィキで調べることができます。初心者向けにはStartup Guideが用意されています。

関連項目

Slackware

外部リンク

Official website
Salix OS - DistroWatch

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