Sherlock (ソフトウェア)

Sherlock（シャーロック）とは

Sherlockは、Appleがかつて開発・提供していた、インターネット検索とローカルディスク検索を統合した検索ソフトウェアです。Mac OS 8.5で初めて搭載され、その後のMac OS 9、Mac OS X v10.1まで利用されていました。名称は、アーサー・コナン・ドイルの小説に登場する名探偵シャーロック・ホームズに由来しており、そのイメージを象徴する虫眼鏡と鹿撃ち帽を組み合わせたアイコンが採用されていました。

Mac OS 8.5での登場

Sherlockは、Mac OS 8.5の新機能として登場しました。それまで別々に行っていたインターネット検索とローカルディスク内の検索（ファイル検索、内容検索）を、同じインターフェースで利用できる画期的なツールでした。最初のバージョンでは、「インターネット検索」「ファイル検索」「内容で検索」の3つのタブを切り替えて検索を実行する形式でした。

日本語解析機能も搭載されており、自然な日本語での検索が可能でした。インターネット検索は、プラグイン形式で組み込まれた各検索サイトを横断的に検索できました。ExciteやInfoseekなどが最初から含まれており、ユーザー自身でプラグインを追加することで、他の検索サイトやオンラインショップの検索機能も利用できるようになりました。ファイル検索では、ファイル名や属性による検索が可能で、内容検索では、あらかじめ索引を作成したファイルの内容を全文検索できました。検索条件を保存し、自動的に検索を実行するファイルを作成する機能も備わっていました。

また、検索結果画面の下部にはバナー広告が表示される領域が設けられていました。

Mac OS 9での進化

Mac OS 9ではSherlock 2となり、インターフェースデザインが一新されました。検索機能は「チャネル」と呼ばれるグループにまとめられ、最初にチャネルを選択してからキーワードを入力する方式になりました。チャネルはプラグインを追加することでカスタマイズが可能で、ユーザーのニーズに合わせて検索対象を拡張できました。

あらかじめ用意されていたチャネルの例:

ファイル: ローカルディスク内の検索。Mac OS 8.5の「ファイル検索」「内容で検索」に相当。
インターネット: インターネットの検索サイトを利用した検索。
人々: 友人や家族に関する情報の検索。
エンターテイメント: 映画、テレビ番組、音楽、イベントなどの検索。
ニュース: 最新のニュース配信サイトの検索。
Apple: Apple関連情報の検索。
リファレンス: 辞書や辞典など資料の検索。
ショッピング: オンラインショップやネットオークションの検索。

Mac OS Xでの展開と終焉

Mac OS Xが登場してからも、Mac OS X v10.1まではSherlock 2が継続して利用されていましたが、デザインはAqua調に変更されました。Mac OS X v10.2ではSherlock 3となり、オークションのトラッキング機能や画像検索機能が強化されました。Mac OS X v10.3では、ファイル検索機能がFinderに組み込まれ、さらに使いやすくなりました。

しかし、Mac OS X v10.4からはSherlockに代わる新しいローカルディスク検索機能「Spotlight」と、デスクトップからインターネット資源を呼び出せるウィジェットエンジン「Dashboard」が登場しました。これにより、SherlockはMac OS X v10.5からは搭載されなくなり、その役割を終えることになりました。

Sherlockは、インターネット検索とローカルディスク検索を統合した先駆的なソフトウェアとして、当時のユーザーに非常に便利なツールでした。その革新的な機能は、後のSpotlightやDashboardに引き継がれ、現在もMacの使いやすさを支える要素となっています。

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