Six/Nine

アルバム「Six/Nine」

「Six/Nine」は、1995年5月15日にBUCK-TICKがリリースした、8枚目のオリジナルアルバムです。この作品は、前作「darker than darkness -style 93-」から約2年の間を経て登場し、音楽シーンに新たな風をもたらしました。

制作の背景

アルバムの制作は1994年12月から1995年3月にかけて行われ、国内外のスタジオを利用した多国籍なプロジェクトとなりました。作詞は櫻井敦司と今井寿が担当し、作曲も今井と星野英彦が手掛けています。この時期、彼らは独自のダークな世界観を模索しながらも、テクノやインダストリアルといった新しい音楽要素を取り入れることを目標にしました。

今井は「黙ってても曲が湯水のように溢れ出てくる」と豪語する一方、実際の制作過程ではアイデアの整理に苦労し、非常に多くの時間を費やすことになりました。そのため、トラックダウンやボーカル録りを別々のスタジオで同時進行させるなど、制作は困難を極めました。櫻井は「滑り込みセーフって感じです」と制作時の苦労を語っています。

音楽スタイルと歌詞

「Six/Nine」では、アルバム全体を通じてテクノ的な音作りが求められています。特に、オープニングトラックの「Loop」は、アンビエントなインストゥルメンタルに櫻井のポエトリーリーディングが重なる一風変わったスタイルが特徴です。一方で「唄」や「鼓動」などの曲は、BUCK-TICKらしいロック時代の要素も感じさせます。

歌詞に関しては、櫻井が新たなアプローチを試み、様々な言葉や表現を取り入れています。従来は知らない言葉を使わないという制限があったものの、本作では「何でもあり」というスタンスで自由な表現をしています。特に、「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」という曲では、楽曲制作における試行錯誤や悩みが反映されており、深いメッセージ性を持っています。

リリースと反響

このアルバムは、オリコンチャートで初登場1位を獲得し、その影響力は大きなものでした。初回プレスには特別なパッケージが付属し、その後の再リリースも話題を呼びました。

また、収録曲の「楽園（祈り 希い）」がコーランの逆再生音声を無断で使用していたことが問題になり、修正版がリリースされるという一波乱もありました。このような出来事も、本作が業界に与えた影響を如実に物語っています。

とりわけ、アルバムの表現には多様な音楽的要素が含まれており、CDジャーナルなどのレビューでも高い評価を受けています。「多面的で壮大な音の宇宙」とも評され、BUCK-TICKの音楽性の幅広さを示す作品となっています。

ツアーとプロモーション

「Six/Nine」のリリースを受けて、BUCK-TICKは「Somewhere Nowhere 1995 TOUR」を展開しました。このツアーでは、アルバム収録曲を中心に構成され、ツアーの初期には新たな楽曲のみを演奏する大胆な選曲がなされました。ライブの中での櫻井のパフォーマンスやMCも注目を集め、観客を魅了しました。

まとめ

「Six/Nine」は、BUCK-TICKの音楽の進化を示す重要な作品であり、彼ら独自のダークでありながら実験的なアプローチが多くのファンに支持されています。様々な音楽要素を取り入れながらも、一貫したテーマを持ったこのアルバムは、現在でも多くの人に聴かれ続けています。

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