SmartSat-1

SmartSat-1（スマートサットワン）について

SmartSat-1は、独立行政法人情報通信研究機構（NICT）が三菱重工業（MHI）と共同で開発した小型で高機能な人工衛星です。この衛星は、通信衛星に最新の通信技術を導入し、地上設備との整合性を考慮した要素技術の実証を目的にしています。 衛星通信技術の進展が急速に進んでいる中、SmartSat-1はその実証の重要な役割を担っています。

概要

情報通信技術が著しく発展する中で、地上から衛星通信の進化に対応するため、先進的な通信技術を採用することが求められています。その先駆けとして位置づけられているのがSmartSat-1です。NICTがミッション機器の開発を担当し、MHIがバス機器の開発とシステムインテグレーションを実施しました。

衛星の設計は、H-IIAロケットやアリアン5のピギーバック衛星としても打ち上げられるようコンパクトに設計されており、サイズ的にも効率的な運用を目指しています。標準バス化されたバス部は、今後の小型衛星の同時打ち上げによる衛星コンステレーションの構築を視野に入れています。

しかし、2022年4月現在、プロジェクトは凍結されており、搭載予定だった再構成通信機の開発や評価作業のみが継続されています。

搭載機器

SmartSat-1は、以下の重要な機器を搭載しています。

再構成通信機（RCE）

RCEは、ソフトウェアによって回路構成を変更可能なSRAM型FPGA技術を用いて構築された通信機です。従来の衛星通信機では、主系と冗長系のいずれかに障害が発生した場合、全ての機能が失われる恐れがありますが、RCEは故障した部分のみを論理的に切り離し、回路を再構成することで運用を続けられるよう設計されています。これにより、通信衛星の寿命を延ばしつつ、災害時の通信帯域の柔軟な専用化や地上設備の進化に伴う通信方式の変更にも対応できます。

広視野カメラ（WCI）

このカメラは、宇宙環境の変化や人工衛星機器の不具合を引き起こす原因となる太陽のコロナ質量放出を観測するために設計されています。将来的には、L5点における宇宙環境観測衛星を対象とした宇宙天気観測実験が計画されており、SmartSat-1がその主要な観測ツールとして機能することが期待されていました。

参考文献

このプロジェクトに関する詳細な情報は、以下の文献を通じて得ることができます。これには、AIAA衛星通信フォーラムの特集記事や電子情報通信学会の発表が含まれています。

関連項目

• - マイクロラブサット
• - ASNARO
• - SPRINT-A

外部リンク

• - 宇宙通信ネットワークグループ 先進衛星技術実証 (NICT)
• - SmartSat-1プロジェクト (NICT)

SmartSat-1は、次世代の衛星通信を実現するための重要な要素技術を実証することを目的としたプロジェクトです。この取り組みは、地球規模での情報通信ネットワークの進化に寄与することが期待されています。

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