SoftBank 831N

SoftBank 831N：使いやすさを追求したシンプル携帯電話

SoftBank 831Nは、日本電気（NEC）が開発・製造し、ソフトバンクモバイルから発売された第3世代携帯電話（SoftBank 3G）です。同社では珍しく、発売後に「かんたん携帯」という名称が付けられました。この端末は、視覚障碍者や高齢者など、携帯電話の操作に困難さを感じているユーザーを主なターゲットとして設計されています。

大きな文字と拡大表示

SoftBank 831N最大の特徴は、その優れた視認性です。メニュー画面全体が拡大文字に対応しており、文字サイズを大きく表示できます。さらに、ピクトグラム表示、機能メニュー、ソフトキーも拡大表示されるため、小さな文字が見づらい方でも快適に操作できます。サブディスプレイも1.6インチと大きめで、時刻表示なども大きな文字で表示される配慮がなされています。

ケータイルーペ機能と使いやすさへの工夫

細かい文字を読むのに便利な「ケータイルーペ」機能も搭載されています。メインカメラのズーム機能を利用することで、時刻表や新聞記事などの小さな文字を拡大表示し、ルーペとして使用できます。

操作性についても、大きなキーサイズを採用するなど、使いやすさに配慮した設計がなされています。「ワンタッチオープン」機能により、着信時にワンタッチで通話を開始したり、メールや不在着信を確認することも可能です（設定が必要）。また、強力なバイブレーション機能「でかバイブ」も搭載されています。

緊急地震速報対応とその後

SoftBank 831Nは、ソフトバンクモバイル初の緊急地震速報対応端末として注目されました。しかし、発売から約1年半後に発生した東日本大震災をきっかけに、緊急地震速報対応機種の不足が問題視されることになります。その後、スマートフォンを中心に緊急地震速報対応機種が増えていきましたが、SoftBank 831Nの後継機種であるSoftBank 840Nがアップデートによって緊急地震速報に対応するなど、改善が見られました。

NTTドコモN-05Aとの関係

SoftBank 831Nは、NTTドコモから発売されたN-05Aと姉妹機種という関係にあります。基本的なハードウェア設計や機能は共通点が多く、両機種とも高齢者や視覚に障碍のあるユーザーをターゲットとした設計がされています。

その他の関連機種

SoftBank 831N以外にも、ソフトバンクモバイルからは高齢者や視覚に障碍のある方をターゲットとした様々な携帯電話が発売されています。SoftBank 821T、SoftBank 832T、SoftBank 843SH、SoftBank 840Zなどは、SoftBank 831Nと同様、使いやすさを重視した設計が特徴です。また、SoftBank 840Nは、アップデートにより緊急地震速報に対応した機種として知られています。さらに、SoftBank 105SHは、スマートフォンやデジタルフォトフレーム以外の機種としては初めて、緊急速報メールに対応した端末となりました。

まとめ

SoftBank 831Nは、大きな文字表示や拡大表示、緊急地震速報対応など、高齢者や視覚に障碍のあるユーザーにとって使いやすい機能を多数搭載した携帯電話でした。そのシンプルさと使いやすさは、多くのユーザーから支持を受けました。緊急地震速報対応機種の不足という問題点もありましたが、その後の機種開発に繋がる貴重な経験となりました。本機は、携帯電話のアクセシビリティ向上に貢献した重要なモデルと言えるでしょう。

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