SoundFont

SoundFont（サウンドフォント）とは

SoundFont（サウンドフォント）とは、主にSound Blaster及び対応ソフトウェアのサンプラー機能で利用される音色データフォーマットです。ファイル拡張子には、SoundFont 1の場合「.sbk」、SoundFont 2の場合「.sf2」が用いられます。また、特定のソフトウェア向けに「.sfz」形式も存在しますが、ここでは以降「SF2」として統一して解説します。

概要

SF2は、サンプラー音源のように、音色を重ねて使用できる点が特徴です。かつてはE-mu Systemsの登録商標でしたが、現在はクリエイティブテクノロジーに移行しています。現在では、クリエイティブテクノロジーのE-mu Systems系DSPで採用されている「.sf2」が主流ですが、過去にはENSONIQの「.ecw」、Aureal Semiconductorの「.arl」および「.dls」、Trident Microsystemsの4DWave-DXの「.dls」、HoontechやGillumotのPCM/MIDI用デュアルDSP搭載サウンドカードの「.94b」など、様々な形式のサウンドフォントが存在しました。これらのサウンドフォント間には互換性はありませんでしたが、Trident Microsystemsの4DWave-NXのように「.sf2」を含む広範囲な拡張子に対応するDSPも例外的に存在しました。

Pentium III時代にはコンピュータの性能が十分でなかったため、SF2の特性を十分に活かすことが難しい状況でした。しかし、Core 2 Duoなどの高性能CPUが登場してからは、その価値が見直されつつあります。

用途

SF2は、音楽鑑賞、DTM（デスクトップミュージック）作曲の両方で活用できます。データはサウンドカード上のROMやHDDに保存され、PCのメインメモリに読み込まれて使用されます。例えば、SoundBlasterを使用する場合は前者、VSTiなどのソフトウェア音源でSF2を扱う場合は後者の方法が用いられます。

前者の場合、OS起動時にSF2がメモリにロードされ、MIDIデータの再生時にサウンドバンクから音色が呼び出されます。後者の場合は、DAW（デジタルオーディオワークステーション）などでSF2を扱うプラグインから呼び出し、メモリに常駐させて使用します。

SF2の仕組みは文字フォントに似ており、文字フォントが組み込まれた文字を読み出して表示するように、SF2も組み込まれた音色を読み出して発音します。また、複数のSF2を重ねて使用することで、多様な音色を組み合わせたメロディックプールを構築できます。SF2は、GM規格をベースにサウンドバンクが構築され、一つのサウンドフォントとして成立します。このように、高価なサンプラーと同様の機能を安価に実現できる点がサウンドフォントの大きな特徴です。

特徴

SF2では、音色のピッチ、フィルター、ボリューム、モジュレーションエンベロープなどを操作できるほか、リバーブやコーラス、ビブラートなどのエフェクトも手軽に操作できます。GM規格の128種の音色配列にとらわれず、独自の配列を組むことが可能です。これにより、任意のwavファイルを一つのインストゥルメントにまとめ、一つの音色として使用できます。

SF2は、主に一般聴取用と制作（作曲）用に使い分けられます。制作に使用する場合は、自身の作曲スタイルや楽曲のイメージに応じてサウンドバンクを組み直すか、新たに作成する必要があります。もちろん、聴取と作曲の両方に利用することも可能です。

自分でサンプリングした波形データや、有料のサンプリングCDに収録されている波形データからもSF2を生成できます。また、インターネット上で公開されているフリーのSF2を利用することもできますが、品質にばらつきがあることや著作権に注意が必要です。

MIDI音源全般に言えることですが、必ずしもデータ容量が大きければ高品質というわけではありません。小さな容量でも、様々なオケに馴染みやすい音色も存在します。音質や特性はユーザーの感性や技術によって左右される点も、大手メーカーのサンプラーと同様です。

長所と短所

SF2でMIDI再生を行う場合、高価な専用機材に比べて安価なSound Blasterシリーズの購入や、フリーのプレイヤーソフトウェアのインストールによって手軽に導入できます。また、GM音色の配列にとらわれず、自由な番号（プリセットナンバーやバンクナンバー）に音色を割り振ることが可能です。例えば、作曲時に「オルガンは不要だがギターを多く入れたい」といったように、必要な音色だけを集めたサウンドフォントを作成することもできます。

しかし、このように自由度が高い反面、MIDIの仕様やGM規格、他のSF2の仕様など、事前に理解しておくべき知識が多いという側面もあります。そのため、初心者ユーザーにとっては、カスタマイズが難しいと感じる場合もあります。

初期のサウンドカードには、オンボードメモリや増設用メモリスロットが搭載されており、サウンドフォントをメモリに置くことでメインメモリを節約できるものもありました。しかし、Windows 98以降、メインメモリと共有する形が主流となり、大きなフォントを使用するとコンピュータの動作が重くなるという問題が生じました。特に、必要なスペックを満たしていないコンピュータでSF2プレイヤーを使用すると、音抜けが発生したり、最悪の場合フリーズすることもありました。

また、過去の一部のSound Blasterシリーズでは、同時発音する波形データの総容量が32MBを超えると再生できなくなる制限がありました。この制限は、OSのレジストリを書き換えることで回避する必要がありましたが、Windows XP以降、非純正のSoundBlaster用ドライバやVSTiなどのソフトウェアサンプラーが登場したことで、これらの制限を回避する手段は豊富になりました。

注釈

関連項目

Sound Blaster
TiMidity++
DLSフォーマット

外部リンク

Creative Technology(英語)
E-mu Systems(英語)
bs-1 / bs-16, bs-16i (VSTi / AudioUnits, iOS SoundFont Player)

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