Su-30MKM (航空機)

Su-30MKM

Su-30MKMは、ロシアのスホーイが開発した多用途戦闘機で、マレーシア空軍用に仕様が変更された機体です。元々はインド空軍向けのSu-30MKIを基にしており、アビオニクスやその他のシステムは異なる設計となっています。この戦闘機は、NATOのコードネームでフランカーH（Flanker H）としても知られています。

導入経緯

マレーシアは2003年8月に、ロシアのイルクートと18機のSu-30MKMを約9億USドルで契約しました。その契約の一環として、ロシアはマレーシアにおいてアンカサワン宇宙飛行士プログラムを推進することを約束し、宇宙飛行士の訓練や国際宇宙ステーション（ISS）への打ち上げ費用を負担しました。2007年10月には、マレーシア人宇宙飛行士シェイク・ムザファ・シュコアが宇宙ミッションのためにソユーズTMA-11で出発しました。

Su-30MKMはイルクーツク航空機工場で製造され、初の2機は2007年5月にマレーシア空軍へ引き渡されました。以降も数機ずつ納入され、最終的には2009年8月に18機すべてが引き渡されました。2018年に、エンジンとスペアパーツの供給問題により、運用する18機のうち14機が飛行できない状態となりました。これに対する対策として、政府は22億リンギットの予算を承認し、エアロスペース・テクノロジー・システムズによる近代化改修が行われました。初号機の改修は2019年に完了し、運用が再開されました。

機体

この戦闘機は、インド向けのSu-30MKIを基本として設計されており、アビオニクスシステムにはフランスのタレス製ヘッドアップディスプレイ（HUD）、航法用赤外線センサー、ミサイル警報装置などが含まれています。機首にはロシア製のパルス・ドップラー・レーダーおよび電子戦システムが搭載されており、これにより高い戦闘能力を確保しています。

エンジンはリューリカ設計局製のAL-31FPターボファンエンジンを2基装備しており、推力偏向ノズルにより優れた操縦性を持っています。また、コックピット後部にはカナード翼も設けられ、機動性向上に寄与しています。

運用

Su-30MKMは第1師団に所属し、第12飛行隊がゴン・ケダック空軍基地を拠点に運用しています。

仕様と性能

• - 乗員: 2名
• - 全長: 21.93 m
• - 全高: 6.36 m
• - 翼幅: 14.7 m
• - 翼面積: 62 m²
• - 空虚重量: 18,400 kg
• - 運用時重量: 26,090 kg
• - 最大離陸重量: 38,800 kg
• - 動力: AL-31FPターボファンエンジン
• - 最大速度: M2.0（高々度）、M1.09（低高度）
• - 航続距離: 8,000 km（空中給油2回）、3,000 km（高々度）、1,270 km（低高度）
• - 実用上昇限度: 17,300 m
• - 最大耐G値: 9 G
• - 武装: GSh-30-1 30mm機関砲 x 1、最大搭載量は8,130 kgで、多様な兵装を装備可能

脚注

• - 関連項目: Su-30MKI（インド空軍仕様）、Su-30MKA（アルジェリア空軍仕様）、Su-30MKK（中国人民解放軍仕様）など。

Su-30MKMは、多機能性と高い性能を兼ね備えており、マレーシア空軍の戦力を支える重要な戦闘機です。

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