Su-33 (航空機)

Su-33 (スホーイ33)

Su-33は、ソビエト連邦のスホーイ設計局が開発した艦上戦闘機です。この機体は、元々スホーイ設計局が手掛けたSu-27「フランカー」の艦上型として設計され、ソ連海軍向けに製造されました。NATOコードネームは「フランカーD」であり、愛称は「シーフランカー」としても知られています。

開発の経緯

Su-33の開発は1970年代に始まりました。当初、ソ連はスホーイ、ミコヤン、ヤコブレフの各設計局に艦上機の研究を依頼しました。ミコヤンはMiG-27にアレスティング・フックを装備したが、旧式化が原因で計画は失敗に終わりました。1984年には、空母での運用を目指した試験機が初飛行を行い、その後の技術試験が進められました。

1987年からはSu-27Kの試作機が製造され、1988年には空母「トビリシ」での初の着艦試験に成功。以降、1989年末に飛行試験が終了し、1994年までに量産が開始されました。しかし、ロシア海軍は経済状況の悪化により、Su-27Kの実用化を数年間遅延させ、遂に1998年にSu-33として制式化されました。生産された機体は24機で、製造は完了しています。

機体の特徴

Su-33はSu-27と非常に似た性能を持っていますが、いくつかの改良が施されています。発着艦時の安全性を考慮し、テイルブームが短くなり、アレスティング・フックが取り付けられました。また、着艦時の衝撃に耐えるために前脚の前輪は二重タイヤに変更され、主翼の形状も改良されています。特に、主翼には全遊動式のカナード翼が追加され、飛行時の機動性が向上しています。

艦載機であるため、機体は防水・防錆対策が施されており、外装塗料は腐食に強いものが使用されています。また、空母での発艦に対応するため、機体のデザインは省スペース化されています。特に、主翼と水平尾翼は折り畳み式で、格納庫での取り扱いやすさが考慮されています。

近代化の進展

2000年代以降、Su-33には近代化改修が行われています。新しいA-737衛星航法システムの導入やエンジンのアップグレードが施され、性能が向上しました。しかし、レーダーや兵装の更新は資金的な理由から実施されていないようです。2010年からは耐用年数の延長が施され、運用寿命が最大で26年に延長されています。2016年には、改良された照準システムによりシリアでの任務に従事し、多くの目標を精密に攻撃することに成功しました。

設備と性能

Su-33は乗員1名を搭乗させる設計で、全長21.19メートル、全幅14.70メートルであり、25,000kgの最大離陸重量を持っています。使用されるエンジンはリューリカ AL-31F3で、十分な推力を発揮します。兵装は、最大12箇所のハードポイントに8,000kg以上を搭載でき、さまざまなミサイルや爆弾を装着できる柔軟性があります。

戦歴と派生型

Su-33は2016年からシリア内戦にも参加し、空母「アドミラル・クズネツォフ」から発進して任務を遂行しました。Su-33にはいくつかの派生型が存在し、特にSu-27KUB（後のSu-33UB）は並列複座型として開発されましたが、計画は中止されました。全体で24機ほどが生産され、今もロシア海軍の重要な戦力の一部となっています。

Su-33は、その設計思想と技術革新によって、艦上戦闘機としての地位を確立しました。今後の近代化がさらに進めば、より多用途な機体としての活躍が期待されるでしょう。

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