Sun-2

Sun-2 シリーズ

Sun-2 シリーズは、サン・マイクロシステムズが1983年に発表した、同社にとって第2世代にあたるUNIXワークステーションおよびサーバ製品群です。先行する Sun-1 シリーズの後継機として開発され、その後のサン製システムの基礎を築く重要な位置を占めています。

このシリーズの最大の特徴は、中核となるCPUとしてモトローラ製のMC68010プロセッサを10MHzのクロック周波数で搭載していた点です。また、4.1BSDをベースに開発された初のSunOS、すなわちSunOS 1.0が稼働し、完全な仮想記憶機能が実装された最初のサン製アーキテクチャでもありました。これにより、当時の他のシステムと比較して、より高度で効率的なメモリ管理が可能となりました。

システムバスアーキテクチャに関しては、開発初期にはインテルのマルチバス（Multibus）を採用していましたが、シリーズ後期には、後続のSun-3やSun-4といったファミリーでも標準となるVMEバスへと移行しています。このバスアーキテクチャの変更は、後のシステムとの互換性や拡張性にも影響を与えるものでした。

Sun-2 システムは、SunOSのバージョン4.0.3までサン自身による公式サポートが続けられました。さらに、オープンソースのオペレーティングシステムであるNetBSDでは、2002年にリリースされたNetBSD 1.6において、初期のマルチバスを採用したSun-2モデルに対するサポートが追加され、現在でも一部で活用されています。

主なモデルと構成

Sun-2 シリーズにはいくつかの形式が存在しました。 Sun-1 システムに Sun-2 のマルチバスCPUボードを搭載してアップグレードされたものは、非公式に 2/100U（アップグレードされた Sun-100）や 2/150U（アップグレードされた Sun-150）などと呼ばれることもありました。典型的な構成である 2/120 のシステムは、当時の価格で5万ドル以上と非常に高価でした。日本国内では、日商エレクトロニクスが1/2インチ磁気テープ装置、80MBハードディスク、オプティカルマウス、各種ソフトウェア、イーサネットサポートを含むシステム構成を1,255万円で販売していた記録があります。

ハードウェア詳細

マルチバスアーキテクチャを採用した主要モデルとしては、デスクサイド型のSun 2/120（9スロット）と、ラックマウント型のSun 2/170（15スロット）がありました。これらのCPUボードは、10MHzの68010プロセッサに加え、8MBの物理アドレス空間と16MBの仮想アドレス空間を取り扱う能力を持っていました。ただし、物理アドレス空間の最上位1MBは、標準のモノクロフレームバッファのために予約されていました。CPUボードには2つのシリアルポートがあり、さらにSun-1から引き継いだパラレル接続のキーボードとマウスもサポートしていました。

メモリについては、サン・マイクロシステムズは1MBと4MBのメモリボードを提供しましたが、純正のサポート構成では最大4MBのRAM構成までとなっていました。しかし、Helios Systemsのようなサードパーティからも、サンシステムで動作する4MBメモリボードが提供されていました。

標準的なディスプレイアダプタは、Sun-2 プライム モノクロ ビデオボードでした。このボードはTTLまたはECLビデオ信号を介して1152x900ピクセルのモノクロ表示を提供し、キーボードおよびマウスポートも備えていました。これは通常、物理メモリ空間の最上位1MBを使用しました。オプションとして、1152x900ピクセルの8-bitカラー表示が可能なSun-2 カラービデオボードも利用できましたが、こちらはアドレス空間の最上位4MBを必要としました。

ストレージ装置としては、標準で42MBのMFMハードディスクが使用されました。アダプテックのMFM/SCSI変換カードであるACB-4000を介して、最大2台のMFMディスクをSun-2マルチバス シリアル/SCSIホストアダプタに接続することが可能でした。このSCSIボード自体も2つのシリアルポートを提供していました。より大容量の要求に対しては、65MB、130MB、380MBのSMDディスクが利用可能で、Xylogics 450 SMDコントローラを介して最大4台のディスクを接続できました（サンのコントローラは2台までサポート）。テープドライブとしては、ArchiveのQIC/SCSIコンバータを用いた20MBのQICテープドライブや、Computer Products CorporationのTAPEMASTERボードまたはXylogics 472ボードを用いた1/2インチ磁気テープドライブもサポートされていました。

ネットワーク接続のために、インテル82586チップを使用したサン純正のイーサネットボードや、スリーコム（3Com）製の3c400ボードが提供されました。これらのイーサネット機能により、Sun-2サーバはディスクを持たないクライアントモデルであるSun-2/50をサポートすることも可能でした。

その他にも、マルチバス用の拡張ボードとして、Sky Computer製の浮動小数点プロセッサ、8つのシリアルポートを提供するサンのALM（Asynchronous Line Multiplexer）、SNAやX.25といった通信プロトコル接続をサポートするサンのSunLink Communications Processor（SCP）などが存在しました。

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