T級潜水艦 (イギリス海軍)

T級潜水艦（T-class submarine）

T級潜水艦は、1930年代にイギリス海軍によって設計された航洋型潜水艦であり、大戦前と戦中に合わせて53隻が建造されました。この艦艇は、トライトン級とも呼ばれ、O級、P級、そしてR級の後継として位置づけられています。その設計は1934年に始まり、当時の国際的な軍縮会議の制約に基づいており、排水量は最大で2000トン、艦載砲は5.1インチ以下に抑えられていました。

設計と開発

T級潜水艦の設計は、当時のソナー技術や敵の探知能力を考慮に入れた結果、より小型の船体が求められました。これは、隠密行動を重視し、敵の探知を避けるために有利だとされていたからです。最終的に、T級潜水艦には艦首に6基、さらに他に4基の魚雷発射管が配置され、計10基の発射管を装備しました。また、甲板上に4インチの砲も搭載されました。開発は1935年に完了し、最初の艦「トライトン」は1936年に建造契約が結ばれました。

T級の潜水艦は、建造された年代により3つのグループに分類され、後期に製造された艦はディーゼル燃料の搭載量が増加したため、作戦行動範囲も拡大しています。第1および第2グループの艦は戦後にすぐに除籍されましたが、第3グループの艦のいくつかは近代化改修が行われ、1970年代まで運用されました。

戦時の運用

T級潜水艦は、第二次世界大戦中にイギリス海軍の主要な潜水艦として使用され、北海や地中海、さらには極東において活躍しました。戦前、初の艦「トライトン」が就役したのは1938年であり、続いて「シーティス」が1940年に沈没する事故が発生し、以降の戦闘ミッションに影響を与えました。

戦争初期には、イギリスの潜水艦は敵の商船や補給船を攻撃する任務が主でしたが、北海での哨戒任務は厳しく、実績はなかなか上がりませんでした。具体的には、ドイツ軍の潜水艦を狙った作戦が多く、その後のノルウェー侵攻や地中海での大規模な作戦に従事しました。

地中海では、T級はイタリア海軍の駆逐艦や輸送船団を狙い、数多くの敵艦を撃沈しましたが、一方で自軍の損失も少なくありませんでした。13隻のT級潜水艦がこの地帯で失われ、特に枢軸国の機雷による犠牲が目立ちました。

戦後の展開

第二次世界大戦が終わると、生き残ったT級潜水艦のほとんどは近代化改修を受けました。戦後の任務は、ソ連潜水艦に対抗するための現代化と攻撃力の強化にシフトしました。1948年に入ると、潜水艦隊の役割が明確になり、ソ連の水上艦隊に対する作戦能力の向上が課題となりました。このため、4隻の艦が大規模な改装を受け、潜水能力の改善が図られました。

最終的に、T級潜水艦は1970年代まで運用され、特にエリート艦船としての地位を築きました。しかし、現代の攻撃潜水艦には及ばず、他の艦艇とともに当時の海軍の戦力を支えました。T級潜水艦の一部はイスラエル海軍にも売却され、別の任務を果たしましたが、その多くは年月とともに退役していきました。

結論

T級潜水艦は、イギリス海軍の潜水艦史において重要な役割を果たした艦艇であり、その設計や運用は演習や実戦を通じて様々な形で進化していきました。数多くの艦が建造され、多くの戦闘経験を経て、現在でもその影響を受けた潜水艦の設計が存在していることは、T級の重要性を物語っています。

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