T-41 (練習機)

T-41 メスカレロの概要

T-41 メスカレロは、セスナ社が製造した172F スカイホークを基に改造された、アメリカ空軍の初等練習機です。アパッチ族の一支族にちなんで名付けられたこの機体は、全世界で40,000機以上が生産されるベストセラー機体を背景に、700機以上が生産されることで名機の地位を確立しました。

背景

1960年代、アメリカ空軍は操縦訓練をすべてジェット機を用いて行っていましたが、この方法にはいくつかの課題がありました。特に、初心者パイロットにとってジェット機はリスクが高く、経済的にも負担が大きかったのです。また、ベトナム戦争が影響を及ぼす中で、パイロットの大量養成が求められるようになりました。このため、空軍は再びレシプロ機を採用し、最初の訓練段階で適性を見分けるための教育機としてT-41を選びました。基本的には軽飛行機を利用することが求められたため、既存機種の流用が重視されました。

T-41Aの導入

セスナ172Fを改修して作られたT-41Aは、1964年9月から211機がアメリカ空軍に納入されました。この機体は、教官も民間のパイロットが務める形で民間運用されていました。そのため、各機体には民間の登録番号が付与されたほか、運用も民間企業に委託されました。

T-41Bとその後の派生型

アメリカ陸軍もT-41を導入し、T-41Bとして運用しました。B型はエンジンを出力強化型に換装し、航法や通信装置も軍用仕様に改良しました。その後、T-41Bの改良型としてT-41Cがアメリカ空軍士官学校でも使用されました。さらに、軍事援助計画に基づき、T-41Dも製造され、多くの国々に提供されました。

世界的な利用

T-41Aはアメリカ国内だけでなく、エクアドルやペルー、ギリシャといった他国においても採用されました。特に、米国との軍事援助関係が強い国々において、その運用が続いています。これらの機体の多くは現在でも現役として運用され続けており、原型となったセスナ172も広く利用されています。

現在の運用状況

1994年からT-3ファイアフライが初等訓練の後継機として導入されましたが、T-3は操縦特性の違いから墜落事故が多発し、飛行が停止されてしまいました。そのため、現在でもアメリカ空軍では軽飛行機が初等訓練に使用される状況が続いています。

機体の詳細

T-41は、基本的にはセスナ172Fと同じ構造を持っており、主に軍用装備が加えられています。エンジンにはコンチネンタル O-300-C（B型以降はIO-360-D）が搭載され、プロペラスピナや車輪のスパッツは装備されていません。

各型の詳細

• - T-41A: アメリカ空軍向け練習機（211機生産）
• - T-41B: アメリカ陸軍向け練習/連絡機（255機生産）
• - T-41C: T-41Bのアメリカ空軍向け型（52機生産）
• - T-41D: 軍事援助計画向け簡素化型（238機生産）

主要諸元 (T-41C)

• - 全長：8.21 m
• - 全幅：10.92 m
• - 全高：2.69 m
• - 自重：618 kg
• - 最大離陸重量：1,043 kg
• - エンジン：コンチネンタル IO-360-D（210 hp）
• - 最高速度：125 kt（232 km/h）
• - 上昇率：268 m/min（海上）
• - 航続距離：626 nm（1,159 km）
• - 乗員：2名

関連情報

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