T1型水雷艇

T1型水雷艇（1935型水雷艇）

T1型水雷艇は、ナチス・ドイツ海軍（Kreigsmarine）が1935年度の建艦計画に基づいて設計・建造した艦艇です。この水雷艇は、当時の国際的な軍縮協定であるロンドン海軍軍縮条約の制約を回避するために、基準排水量を600トン以下に抑えることが目標とされましたが、実際には845トンという基準排水量に到達しました。この点から、艦艇の設計には当時の複雑な国際情勢が反映されています。

T1型に続いて、1937年度建艦計画に基づく拡大改良型であるT13型水雷艇も建造されました。T1型とT13型は基本的な性能や装備に大きな違いはないものの、T13型はやや大型化され、より良好な運用が期待されていました。これらの水雷艇は、1940年代の第二次世界大戦において重要な役割を果たしました。

兵装と性能

T1型水雷艇とT13型水雷艇の主な兵装は、船体中央部に搭載された2基の3連装533mm魚雷発射管です。これに加えて、艦尾部分には105mm単装砲が1基、艦橋付近には2門の20mm機関砲が設置されていました。しかし、火力の面で見ると、対水上艦艇や対空火力が十分とは言えず、汎用性にも欠けていました。このような装備の制限が影響し、後のT22型水雷艇では105mm単装砲を4門に増強し、火力を強化しています。

戦争における活躍

第二次世界大戦が勃発すると、T1型およびT13型水雷艇は、駆逐艦の代替としてさまざまな作戦に参加しました。北海やバルト海、英仏海峡などでの大型戦艦や巡洋艦の護衛、さらには通商破壊作戦に至るまで、多岐にわたる使命を担いました。しかし、多くの艇が戦闘中に失われる結果となりました。生き残った艇も、戦後にはアメリカ、フランス、デンマーク、ソ連などに賠償艇として譲渡されることになります。

T1型水雷艇とその改良型であるT13型水雷艇は、いずれもナチス・ドイツ海軍の艦艇の中で特異な存在であり、その運用は時代の政治的背景や軍事的要求に深く関わっています。これらの艦艇は、わずかな兵装と運用の限界が示すように、その使命と戦局における複雑さを如実に物語っています。

同型艇

• - T1型水雷艇
• - T13型水雷艇は9隻すべてがシハウ造船のエルビング造船所で建造されました。

参考資料

• - ドイツ海軍艦艇一覧
• - 1935型水雷艇 / 1937型水雷艇

T1型水雷艇は、ナチス・ドイツの艦艇史において重要な存在であり、その多様な運用方法と戦争中の経験から多くの教訓が得られました。

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