TAI/アグスタウェストランド T129 ATAK

T129 ATAK 攻撃ヘリコプター

T129は、イタリアのアグスタ・ウェストランド社（現レオナルド S.p.A）が開発したA129 マングスタを基に、ターキッシュ・エアロスペース・インダストリーズ（TAI）がライセンス生産したトルコ陸軍向けの攻撃ヘリコプターです。本機は、昼夜を問わず、厳しい環境条件下での攻撃や偵察を実施する能力を持つように設計されています。特に、高温や高地といった厳しい条件でその性能を最大限に発揮できます。

開発の背景

ATAK計画は、トルコ軍が求める攻撃および戦術偵察用のヘリコプターのニーズに応じて立ち上げられました。2007年3月30日、トルコはアグスタウェストランド社と協力して、51機（オプションでさらに40機）を開発することを決定しました。最終的に、これらはTAIによってT129として組み立てられることが発表されました。この契約の総額は120億ドルに達しました。

初飛行と試験

T129の初飛行は、2009年9月28日にイタリアのヴェルジャーテにあるアグスタウェストランドの施設で行われました。その後、2010年3月19日には高地での浮上試験も実施されました。しかし、この試験中にT129の試作機(P1)は、尾部回転翼を高度15,000フィートで失うというトラブルに見舞われました。パイロットは墜落前に回復動作を試み、幸運にも深刻な負傷を避けました。2011年8月には、トルコ国内で最初に組み立てられたT129の試作機「P6」が成功裏に初飛行を果たしました。

採用国

T129は、主にトルコ陸軍で使用されており、40機が運用されています。また、ジャンダルマ（治安部隊）にも4機が配置されています。加えて、警察総局にも導入されており、2021年2月にはその引き渡しが行われました。

他にも、フィリピンやナイジェリアがT129を採用しています。特にフィリピンでは、2018年12月にデルフィン・ロレンザーナ国防相が8～10機の導入を計画していると発表しました。

一方で、パキスタンも30機の発注を行っていましたが、アメリカの輸出規制により、その導入が殆ど進んでいないという経緯があります。

T129の基本情報

型式

• - T129A EDH: 初期生産型
• - T129B: 対戦車ミサイル運用能力を付与した型

諸元

• - 乗員: 2名（操縦士と副操縦士/射手）
• - 全長: 13.45 m
• - 全高: 3.4 m
• - ローター直径: 11.90 m
• - 最大離陸重量: 5,000 kg

動力

• - LHTEC CTS800-4A ターボシャフトエンジン × 2基（合計出力: 1,361 shp）

性能

• - 最大速度: 278 km/h
• - 巡航速度: 269 km/h
• - 航続距離: 561 km
• - 実用上昇限度: 6,096 m
• - 上昇率: 14.0 m/s

武装

• - 固定武装: 1× M197 20 mm ガトリング砲
• - ミサイル: 8× AGM-114 ヘルファイア、その他対戦車ミサイルおよび空対空ミサイル

このように、T129は高度な技術と多様な兵器システムを備えた攻撃ヘリコプターとして、トルコ及びその他の国々の防衛力を支える重要な役割を担っています。

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