TDK SR

TDKハイポジションカセットテープ「SR」シリーズと「SF」

TDKが1980年代から1990年代にかけて製造・販売していたハイポジション（クロムポジション、IEC TYPE II）用コンパクトカセットテープ「SR」シリーズと、その前身となる「SF」について解説します。

SF（スーパー・フィデリティー）

1985年7月にTDKのエントリー向けハイポジションカセットテープとして登場しました。磁性体には上位モデルのSAと同様にアビリンが採用されていますが、磁気テープの塗布方法や入力感度において差異が見られます。しかし、MOL（最大出力レベル）や低ノイズ特性はSAを若干上回る性能を持っていました。発売当初の価格は、同社のSLH級ノーマルポジション用カセットテープAR（初代）と同程度でした。

1986年7月には初の改良が加えられ、日本市場では1988年9月に後継モデルのSRが登場するまで販売されました。海外市場では1995年まで販売が継続されました。

SR（スーパー・レスポンス）

1988年9月にSFの後継として日本市場限定で発売されました。磁性体にはSF同様アビリンを採用しつつ、入力感度やMOLが強化され、ノイズレベルも大幅に低減されました。その後、3度の改良を経て1995年4月に販売を終了しました。SRは、松下電器産業（現パナソニックホールディングス）向けにPanasonic HXとしてOEM供給もされていました。

SR-X（スーパー・レスポンス・エクストラ）

1989年3月にSRの上位モデルとして登場しました。性能と音質はSRとSAの中間に位置づけられていました。1994年3月にSAに統合される形で販売を終了しました。

SR-Limited（スーパー・レスポンス・リミテッド）

1991年9月に2代目SRのスリムケース版として登場しました。当時、世界最小・最軽量を謳うサイドローディングケースを採用し、カセットハーフの出し入れは短辺方向から行う方式が特徴でした。また、縦横3方向から確認可能な3面インデックスが採用されていました。タイムバリエーションは46分、54分、60分、90分の4種類で、価格はオープンプライスでした。

技術的特徴と性能

これらのカセットテープは、磁性体にアビリンを使用しており、高い録音性能と音質を追求していました。特にSRは、SFから性能が向上し、より高音質での録音が可能となりました。SR-Xは、SRとSAの中間的な位置づけで、バランスの取れた性能が特徴です。SR-Limitedは、スリムケースと使いやすさを追求したモデルでした。

まとめ

TDKのSRシリーズとSFは、1980年代から1990年代にかけて、高品質な録音体験を求めるユーザーに支持されました。各モデルの特徴を理解することで、当時のオーディオ文化をより深く感じることができるでしょう。

参考文献

FUTABASHA SUPER MOOK 〜TDKカセットテープ・マニアックス〜
ONTOMO MOOK stereo編 カセットテープ完全アルバム 僕たちの青春を彩ったカセットテープのすべて

関連項目

* CDing II → CDing2 - 日本国内ではSR、日本国外ではSFの下位に位置づけられていたハイポジション用コンパクトカセットテープ。

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