CDing

CDing (シーディング) とは



CDingは、かつてTDKが1990年8月から2007年12月まで製造・販売し、その後イメーション（現：韓オージン社）がTDK Life on Recordブランドとして2008年1月から2011年8月まで製造、同年12月まで販売していたコンパクトカセットの商品名（商標）です。

発売の背景



1982年10月1日にコンパクトディスク（CD）が登場し、音楽メディアの主流がレコードからCDへと移行し始めました。また、レンタルレコード店の普及により、自宅でCDやレコードをカセットテープに録音する需要が高まりました。当時、レコード録音用として46分のカセットテープは存在しましたが、CDの普及を見据えて、CDの収録時間に対応した細かい時間設定のカセットテープが求められるようになりました。1988年にソニーがCDixシリーズを発売したことを皮切りに、各社からCD録音に特化したカセットテープが発売され、CDingもその一つとして登場しました。

製品の特徴



CDingは、音楽録音専用カセットテープの中では最下級グレードに位置づけられていました。TDKの他のシリーズであるAD、AR、SR、SA、MAシリーズなどと比較すると特徴は異なりますが、CD録音に特化した仕様であるため、そこそこの高音質を実現していました。2000年時点では、10分から150分まで幅広い時間設定のカセットテープがラインナップされていました。

また、CDingの上位版として、各テープポジション（ノーマル、ハイ、メタル）で1ランク上の磁気テープやカセットハーフを採用したSuper CDingも1992年8月から1994年8月まで製造・販売されました。しかし、1998年9月のリニューアルを機にMETAL CDingはMA-EXに統合され、それ以後はノーマルポジションとハイポジションのみの展開となりました。

製造と販売の終了



2011年夏から秋にかけて発生したタイ洪水により、イメーションの磁気テープ製造工場が被災し、製造ラインがすべて浸水したため、CDingは製造・出荷を終了しました。これにより、TDKのCDingシリーズは、名実共に貴重な音楽録音専用カセットテープとなりました。

カセットの仕様



CDingのグレードは、ノーマルポジション、ハイポジション、メタルポジションの3種類でした。ノーマルポジションは10分から150分まで、ハイポジションは最長120分まで、メタルポジションは46分から90分までのラインナップでした。発売当初はネジ止め式でしたが、1994年のリニューアルで超音波溶着方式に変更されました。

グレード的には、TDKのAEシリーズ以上ADシリーズ以下の位置づけとされていましたが、2001年末までにAD1やAD2、MA-EXなどの各種音楽録音専用カセットテープが生産・出荷終了となり、CDingシリーズが同社にとって重要な役割を担うようになりました。

他社製品との比較



CDingの対抗製品としては、ソニーのCDix、日立マクセル（現マクセル）のCD's、AXIA（富士フイルム）のJ'zなどが挙げられます。価格は比較的安価で、1994年のCDing METALは、AXIAのPS-METALと同等の価格帯でした。CDing METALは1996年にリニューアルを終了し、販売も1998年末までに終了しました。

2001年には、CDing1とCDing2の最終モデルチェンジが行われましたが、2011年のタイ洪水の影響で製造ラインが失われ、CDingとAEは共に生産・出荷を終了しました。いずれも2012年末までに販売終了となりました。

現在、CDingを入手するには、大手リサイクルショップやオークションを利用するしかありません。ラベルは非常にシンプルで、インデックスカードは1枚半のものが付属しています。ケースはマクセルと似た薄型ケースが採用され、裏面右上にはTDKのロゴマークが印刷されています。

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