TI-83 シリーズ

TI-83シリーズ：グラフ電卓の進化

TI-83シリーズは、テキサス・インスツルメンツ（TI）が開発したグラフ電卓のシリーズです。このシリーズは、教育現場での利用を主な目的として設計され、関数計算、グラフ表示、統計機能など、高度な計算能力を提供します。学生や教育者にとって、数学や科学の学習を支援する強力なツールとして、長年にわたり愛用されてきました。

TI-83の登場と進化

1996年、TI-83はTI-82の後継機としてデビューしました。欧米を中心に、学生の間で広く普及し、標準的な関数電卓としての役割に加え、グラフの表示機能、統計計算機能などが評価されました。この電卓は、単なる計算機にとどまらず、ユーザーがプログラムをダウンロードしたり、自分で作成したりできるという点で、高度なカスタマイズ性を持っていました。

1999年には、TI-83 Plusがリリースされ、フラッシュメモリを搭載したことで、オペレーティングシステムのアップデートやアプリケーションのインストールが可能になりました。これにより、ユーザーは自分にとって必要な機能を追加したり、作成したプログラムやデータを保存したりできるようになりました。さらに、2001年にはTI-83 Plus Silver Editionが登場し、フラッシュメモリの容量が倍増し、処理速度も向上しました。

TI-83シリーズは、TI製電卓の中で初めてアセンブリ言語が正式にサポートされた機種でもあります。それ以前の機種でもアセンブリ言語を利用することはできましたが、メモリイメージを転送するというハックに近い方法が必要でした。TI-83シリーズでは、より簡単にアセンブリ言語を利用したプログラミングが可能となり、電卓の可能性をさらに広げました。

2004年には後継機種であるTI-84 Plusが登場したため、TI-83とTI-83 Plus Silver Editionは製造終了となりました。しかし、TI-83 Plusはその後も製造が続けられ、2017年6月現在でも新品を入手可能です。

技術仕様

TI-83シリーズの技術仕様は以下の通りです。

CPU
Zilog Z80 CPU、6 MHz (TI-83, 83 Plus) または 15 MHz (Silver Edition)
ROM
256 KB ROM (TI-83のみ。他の機種はフラッシュメモリ)
フラッシュメモリ
512 KB (TI-83 Plus) または 2 MB (Silver Edition)
RAM
32 KB RAM (Silver Editionでは128 KiBですが、デフォルトでは追加の96 KiBはユーザーが使用できません)
ディスプレイ
テキスト: 16×8 文字 (通常フォント時)
グラフィックス: 96×64 ピクセル、モノクロ
入出力
リンクポート、9.6 kビット/秒
50ボタンの内蔵キーパッド
電源
単四型 4個と、バックアップ用のCR 1616またはCR 1620
内蔵プログラミング言語
TI-BASIC、機械語、アセンブリ言語。C言語は、コンピュータ上でZ80向けのクロスコンパイラなどが必要

TI-83シリーズの意義

TI-83シリーズは、グラフ電卓の普及に大きく貢献しました。その使いやすさと高機能性から、教育現場での数学や科学の学習を大きくサポートしました。また、プログラミング機能は、学生たちが計算の仕組みを深く理解し、自ら問題解決に挑戦するための土台となりました。TI-83シリーズは、その後の電卓の進化に大きな影響を与えた、教育用電卓の金字塔と言えるでしょう。

関連情報

関連項目:
テキサス・インスツルメンツ署名鍵論争
外部リンク:
Tout pour la Ti89
Features of the TI-83 Plus, TI-83 Plus Silver Edition TI製品情報
TI-Basic Developer
* Ticalc.org


TI-83シリーズは、その歴史の中で、多くの学生や教育者にとって不可欠なツールとなりました。その遺産は、現代の電卓や教育技術にも受け継がれています。

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