TIMS

TIMS（列車情報管理システム）

TIMS（Train Information Management System）とは、東日本旅客鉄道（JR東日本）と三菱電機が共同で開発した列車情報管理システムです。車両の力行やブレーキ、ドアの開閉、車内空調、行先表示など、様々な機器の状態を集中管理・制御します。

各鉄道事業者におけるTIMS

TIMSはJR東日本の車両だけでなく、同社の技術を基に設計・製造された国内外の鉄道事業者でも採用されています。各社で名称は異なりますが、システムの中核部分は共通しています。

TICS：名古屋鉄道、西日本旅客鉄道（JR西日本）
TIOS：小田急電鉄
K-TIMS：京王電鉄
S-TIM：西武鉄道

次世代システムとしては、国際規格ECNに準拠したINTEROSがあります。

開発の経緯

TIMSの前身は、国鉄時代に開発されたMON（モニタ装置）です。新幹線200系電車で導入されたMON1形から始まり、在来線にも簡易的なモニタ装置が搭載されました。JR東日本発足後には、651系や251系などで本格的なMON3型モニタ装置が導入されました。

209系やE217系に搭載されたMON8型制御伝送装置からは、機器の監視だけでなく、力行やブレーキ指令などの制御もシリアル伝送で行われるようになりました。E653系などには、信頼性と伝送速度を向上させたMON11型が導入され、新幹線車両にも一部仕様変更のうえで採用されました。

1998年、209系950番台（現・E231系900番台）に、引き通し線のオール伝送化を図ったTIMSが初めて導入され、翌年から量産化されたE231系に標準搭載されました。

TIMSの導入効果

TIMSの導入により、従来の車両では機器ごとに必要だった引き通し線が大幅に削減され、軽量化と製造・メンテナンスコストの削減に大きく貢献しました。また、各機器の動作状況を運転台のモニターで集中監視できるようになったため、車両の状態をより詳細に把握できるようになりました。

TIMSは、編成全体としてのブレーキ制御を可能にし、車両ごとの混雑状況に応じてブレーキ力を調整するなど、高度な制御を実現しました。これにより、ブレーキ制輪子の偏摩耗抑制や、回生ブレーキの効率向上といった省エネ効果ももたらしています。

トポロジはラダー型となり、信頼性が向上しました。車両間の伝送にはアークネット、車両内の伝送にはRS-485が採用され、伝送速度も大幅に向上しました。

TIMS経由の指令

TIMSは、運転台関連、主回路関連、補助回路機器、ブレーキ関連、サービス機器関連、検修関連など、幅広い分野の指令を制御しています。

運転台の起動、前後進指令、運転指令論理作成
パンタグラフ昇降指令（一部車種のみ）
力行・ブレーキ制御、回生バランス制御
SIVリセット指令、空気圧縮機の運転制御
編成全体としての電空ブレンディング制御
ドア開閉指令、冷暖房送風一括制御、車内放送制御
自動出区点検機能、車上試験機能、故障記録機能

搭載車種の例

TIMS：JR東日本E231系、E233系、E257系、E259系、E353系、E531系、E655系、E657系、E001形、相鉄10000系、11000系、12000系、東京都交通局10-300形、神戸市交通局6000形、シンガポール地下鉄C751B形、愛知高速交通100形
S-TIMS：新幹線E5系・H5系、E6系、E7系・W7系
TICS：JR西日本125系、521系、名鉄300系・名古屋市交通局7000形（共通設計）、名鉄3300・3150系、2000系、2200系・2300系、4000系、9500系・9100系、名古屋市交通局6050形、N3000形
TIOS：小田急3000形 (2代) 3次車以降、4000形 (2代)、50000形、60000形、70000形
K-TIMS：京王5000系
S-TIM：西武30000系、40000系、001系

関連項目

鉄道車両のモニタ装置
DICS
INTEROS
* グラスコックピット

もう一度検索