TOI-1728 b

TOI-1728 bは、遠く離れた宇宙に存在する太陽系外惑星の一つです。地球からおよそ198光年離れた、きりん座の方向にある恒星TOI-1728の周囲を公転しています。主星であるTOI-1728は、太陽よりも小さく低温なM0型の赤色矮星であり、その年齢は約71億年と推定されています。この惑星は、公式な名称であるTOI-1728 bの他に、TIC 285048486 bやUCAC4 774-029023 bといった識別名でも呼ばれることがあります。太陽系外惑星の探査が進む中で発見された、M型星周りの多様な惑星系を理解する上で注目される天体です。

TOI-1728 bの存在が明らかになったのは2020年のことです。この発見は、NASAのトランジット系外惑星探索衛星（TESS）が取得した観測データの詳細な分析に基づいて行われました。TESSは、恒星の手前を惑星が通過（トランジット）する際に生じるわずかな明るさの変化を検出することで、太陽系外惑星を探査するミッションです。TOI-1728 bの場合も、主星TOI-1728の明るさが周期的に減少する様子が捉えられ、その存在が示唆されました。この兆候を確認するため、リチャード・スコット・パーキン望遠鏡や、ホバート・アンド・ウィリアムス・スミス・カレッジにある口径0.6メートルの望遠鏡など、複数の地上観測施設による追跡観測が実施されました。これらの追加観測によってトランジット現象が確実に捉えられ、TOI-1728 bがTOI-1728の周囲を巡る惑星であることが確認されたのです。

発見されたTOI-1728 bは、その物理的特徴から「スーパー・ネプチューン」と呼ばれるタイプの太陽系外惑星に分類されます。地球の約5倍の半径と、約26.8倍の質量を持つこの惑星は、太陽系の海王星よりも大きく、巨大ガス惑星よりは小さい中間的なサイズと質量を持っています。主星TOI-1728のごく近くを公転しており、公転周期は約3.5日と極めて短いことも特徴です。

TOI-1728 bは、M型赤色矮星の周囲に存在する太陽系外惑星の多様性を理解する上で重要な意味を持っています。特に、M型星を公転する海王星型惑星の質量や半径の分布において、この惑星は興味深い位置を占めています。M型星周りでは、比較的質量の小さい海王星型惑星が多く見つかる傾向がある一方で、それよりも質量が大きい海王星型惑星との間に観測的な隙間が存在することが指摘されています。TOI-1728 bのような、地球の約27倍という質量を持つ比較的重い海王星型惑星は、この質量分布における「境界」や「ギャップ」を埋める存在として注目されます。TOI-1728 bに関するデータは、M型星周りの惑星がどのように形成され、進化するのか、そして質量や半径といった物理的特徴がどのように決まるのかといった、惑星形成理論に関する理解を深めるための貴重な手がかりを提供します。太陽系とは異なる主星の環境下での惑星系の形成・進化過程を探る上で、TOI-1728 bは学術的に重要な観測対象の一つと言えるでしょう。

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