TOI-1749

TOI-1749

TOI-1749は、地球からおよそ324光年離れた位置に存在する恒星です。スペクトル分類上はM0V型に分類される、太陽より小さく低温な赤色矮星です。この恒星は、TIC 233602827など他の名称でも呼ばれることがあります。M型星は宇宙で最も多く存在する恒星タイプの一つであり、近年多くの系外惑星がその周囲で発見されています。

惑星系の発見

TOI-1749に惑星が存在するかどうかは、アメリカ航空宇宙局（NASA）が運用する宇宙望遠鏡TESS（トランジット系外惑星探索衛星）による観測を通じて探られました。TESSは、恒星の前を惑星が通過する際に生じる恒星の明るさのわずかな変化（トランジット）を検出することで系外惑星を発見します。この方法を用いてTOI-1749が観測された結果、複数の惑星候補が特定されました。

初期のデータ分析では、TOI-1749.01とTOI-1749.02という二つの惑星候補が発見され、それぞれの公転周期は約4.49日と約9.05日であると推定されました。さらに詳細な観測と分析が進む中で、TOI-1749.03と名付けられた三つ目の惑星候補の存在も明らかになりました。主星からの距離が最も近いのはTOI-1749.03であり、次にTOI-1749.01、最も遠いのがTOI-1749.02という軌道順であることが判明しました。

惑星の確定と特徴

これらの惑星候補は、その後のフォローアップ観測によって存在が確定され、正式な太陽系外惑星として認定されました。主星TOI-1749に近い方から順に、TOI-1749 b、TOI-1749 c、そしてTOI-1749 dと命名されています。これらの惑星の発見を報告する論文は、2021年7月12日にオンライン上で公表されました。

TOI-1749系で確認された三つの系外惑星は、それぞれ異なるタイプに分類されます。

最も内側を公転する惑星TOI-1749 bは、地球より質量が大きい「スーパー・アース」型の岩石惑星と考えられています。スーパー・アースは太陽系には存在しないタイプの惑星です。
続く惑星TOI-1749 cと最も外側の惑星TOI-1749 dは、海王星よりは小型の「ミニ・ネプチューン」型に分類されるガス惑星または氷惑星と考えられています。
* 惑星cの公転周期は約4.49日、惑星dの公転周期は約9.05日です。惑星bの公転周期は、最も内側の惑星候補.03に対応するため、約4.49日より短いと考えられます。

惑星系の進化に関する仮説

これらの惑星系がどのように形成され、現在の姿になったのかについても、興味深い推測がなされています。一つの仮説として、当初これらの惑星すべてが、比較的厚い水素の大気層（外層）を持っていた可能性が指摘されています。しかし、主星TOI-1749に最も近い軌道を回る惑星bでは、恒星からの強い放射などの影響により、その後の進化の過程でこの水素の大気層が失われ、岩石質の核が露出したスーパー・アースになったと考えられています。一方、より遠い軌道にある惑星cとdは、比較的穏やかな環境であったため、水素の大気層を維持し、現在のミニ・ネプチューン型惑星として存在しているというシナリオが提唱されています。

TOI-1749惑星系は、異なるタイプの惑星が同じ恒星の周りを公転している希少な例であり、惑星の形成や進化、特に惑星大気がどのように獲得・維持・喪失されるかといったプロセスの解明に重要な手がかりを提供する研究対象として注目されています。

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