TOI-174

TOI-174星系

TOI-174は、地球から約39.1パーセク、およそ127.4光年離れた位置にある恒星です。質量は太陽の約0.75倍、半径は約0.73倍と、太陽よりやや小ぶりです。この星の周囲には、現在までに5つの太陽系外惑星が見つかっており、その多様な性質から惑星系研究において注目されています。

発見の経緯

TOI-174星系の惑星探しは、TESS宇宙望遠鏡によるトランジット観測から始まりました。初期のデータから、まず約17.7日周期と約29.8日周期を持つ2つの惑星候補が特定されました。これらの候補は、その後のHARPS分光器を用いたドップラー分光観測により存在が確認され、「TOI-174 b」「TOI-174 c」と命名されました。発見当初、これらは海王星型惑星に近いと推測されていました。

TESSなどによる継続的な観測では、さらに3つの惑星候補が報告されました。これらは約4日、約8日、約12.2日の公転周期を持つと見られました。

2022年、ESPRESSO分光器による詳細なドップラー分光観測によって、これらの追加候補の存在が確定しました。短い周期を持つものから順に「TOI-174 d」「TOI-174 e」「TOI-174 f」と命名され、発見が公表されました。これらの惑星は、先に発見されたbとcよりも恒星に近い軌道を周回しています。

ESPRESSOによる精密な観測は、新たな惑星の確認に加え、bとcに関する理解も深めました。特に、その質量の測定値が従来の推定より大幅に小さいことが明らかになったのです。この結果、bとcは海王星型惑星ではなく、地球より大きい岩石質の惑星である「スーパーアース」に再分類されることになりました。bとcはどちらも半径が地球の約2倍です。

5つの惑星の特徴

TOI-174星系には、内側からd、e、f、b、cの順に惑星が並んでいます。それぞれの惑星は以下のような特徴を持つと考えられています。

TOI-174 d: 最も内側を公転し、周期は約4日。半径は地球の約0.75倍と小さい惑星です。
TOI-174 e: dのすぐ外側を巡り、周期は約8日。半径は地球の約0.82倍と、こちらも地球より小さいサイズです。

dとeは、地球より小さいにもかかわらず密度が非常に高いと推定されています。これは、地球より鉄の含有量が多い、水星のような高密度の核を持つ「スーパーマーキュリー」である可能性が高いことを示唆しています。

TOI-174 f: 公転周期は約12.2日。質量は約1.137地球質量と、地球よりわずかに重いスーパーアースです。
TOI-174 b: 公転周期は約17.7日。半径は地球の約2倍のスーパーアースです。
* TOI-174 c: 最も外側を公転し、周期は約29.8日です。半径はbと同じく地球の約2倍のスーパーアースです。bとcの公転周期（約17.7日と約29.8日）は、約3:5の軌道共鳴の関係にあると考えられています。

外側の3つの惑星（f、b、c）は、内側のdやeに比べて密度が低く、その内部に比較的多くの水やガスの層を含んでいる可能性が高いと推定されています。

TOI-174星系は、高密度の岩石惑星から水やガスを豊富に含む可能性のあるスーパーアースまで、多様なタイプの惑星が比較的コンパクトな領域に集まっている例として、惑星がどのように誕生し、進化していくのかという fundamental な問いに対し、重要な手掛かりを提供するものとして研究が進められています。

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