TOI-2202

TOI-2202

TOI-2202は、地球からおよそ236パーセク（約770光年）の距離にある恒星です。スペクトル分類ではK8V型に分類され、これは太陽（G2V型）と比べるとやや温度が低く、表面の色が赤みがかった主系列星であることを示しています。その物理的な性質を見ると、TOI-2202の質量は太陽のおよそ0.82倍、半径もおよそ0.79倍と、私たちの太陽と比べるとやや小ぶりで温度も低いタイプの星です。

惑星系

この恒星の周囲には、二つの巨大ガス惑星が軌道を描いていることが確認されています。これらは、いずれも木星に匹敵するかそれ以上の質量を持つと考えられており、「木星型惑星」に分類されます。

TOI-2202 b

内側を巡る惑星、TOI-2202 bは、恒星の手前を通過する際に明るさがわずかに変化する様子（トランジット）を、NASAのトランジット系外惑星探索衛星TESSが捉えたことでその存在が最初に示唆されました。TESSによる観測データから、この天体は2020年9月18日にTESSの興味深い天体リスト（TOI: TESS object of interest）としてTOI-2202.01の名称で追加されました。その後、地上からの追観測によって、これが実際に惑星であることが確認されました。TOI-2202 bは、約11.9日という比較的短い周期で恒星の周りを公転しています。

TOI-2202 c

一方、外側を公転する惑星TOI-2202 cは、内側惑星bのトランジットが予測される時間からわずかにずれる現象、すなわちトランジットタイミング変化（TTV）が検出されたことでその存在が示唆されました。惑星が複数存在する場合、それぞれの重力がお互いの軌道に影響を与え、トランジットのタイミングに微小なずれが生じることがあります。このTTV解析により、トランジットは起こさないものの、重力的に内側惑星に影響を与える巨大な惑星が外側に存在することが予測され、その後の詳細な解析によって確認されました。TOI-2202 cの公転周期は約24.7日です。この惑星系では、惑星の存在や性質をさらに詳しく調べるため、ドップラー分光法と呼ばれる手法を用いた観測も実施されています。

発見論文と惑星系の特徴

このユニークな惑星系の発見に関する研究成果をまとめた論文は、2021年8月11日にプレプリントサーバーであるarXivにて公開されました。

TOI-2202系最大の特筆すべき点は、二つもの巨大ガス惑星が、恒星から比較的近い軌道に、しかも比較的温度の高い状態（いわゆる「ホットジュピター」やそれに準ずるような状態）で存在していることです。現在のところ、このような構成を持つ惑星系は非常に稀であることが知られており、どのようにして巨大ガス惑星が複数、しかも近距離の軌道に安定して存在できるのか、その形成や進化のメカニズムについては、まだ十分に理解されていません。TOI-2202惑星系は、従来の惑星系形成理論では説明が難しい側面を持っており、今後の観測や理論研究によって、惑星系の形成やダイナミクスに関する理解を深める上で、重要な手がかりを提供すると期待されています。

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