TOI-700 b

TOI-700 b

TOI-700 bは、地球から見てかじき座の方向に約101.5光年の距離に位置する、恒星TOI-700の周囲を公転する太陽系外惑星です。この惑星は、同じ星系に存在する他の惑星とともに、天文学者たちの注目を集めています。

発見の経緯

この惑星は、2020年1月にハワイ州ホノルルで開催されたアメリカ天文学会第235回会合において、その存在が公にされました。アメリカ航空宇宙局（NASA）が運用する太陽系外惑星探索衛星TESSが取得した詳細な観測データから、TOI-700星系に属する少なくとも3つの惑星の一つとして、TOI-700 bが特定されたのです。TESSは、太陽系外惑星が主星の手前を通過する際に生じる周期的な光の変動を検出することを主なミッションとしています。

発見方法

TOI-700 bの発見には、太陽系外惑星の検出において現在最も広く用いられている手法の一つであるトランジット法が活用されました。この手法では、遠方にある恒星の手前を惑星が横切る際に、地球から観測される恒星からの光がわずかに減光する現象を捉えます。この減光が定期的に繰り返されることで、惑星が存在すること、さらにはその惑星の大きさや公転周期などの情報を推測することが可能となります。TOI-700 bも、主星TOI-700の手前を通過する際の光度変化をTESSが精密に観測したことによって発見されました。

特徴

TOI-700 bは、その物理的な特徴において地球といくつかの点で比較されます。具体的には、以下のような特徴が挙げられます。

大きさ: TOI-700 bは、そのサイズにおいて地球と極めて類似していることから、岩石質の表面を持つ可能性のある地球型惑星に分類されると考えられています。
表面温度: 主星TOI-700からの距離が比較的近いため、表面温度は摂氏144度程度と推定されています。この温度は、地球上で液体の水が安定して存在できる温度よりもかなり高く、液体の水が存在する環境としては適していません。
質量: この惑星の正確な質量はまだ確定していませんが、2017年に発表された「Forecaster」という名称のモデルを用いた計算では、地球の約1.07倍の質量を持つ可能性が示唆されています。これは、地球と類似した質量の惑星である可能性を示唆しています。
公転軌道と周期: TOI-700 bは、約10日という非常に短い周期で主星TOI-700の周りを公転しています。TOI-700星系には、TOI-700 bを含め、現時点で少なくとも3つの既知の惑星が存在しており、TOI-700 bはその中で主星に最も近い軌道を回っています。
* 潮汐固定の可能性: TOI-700星系に属する既知の3つの惑星すべてが、主星からの強い潮汐力によって潮汐固定（潮汐ロック）の状態にある可能性が指摘されています。潮汐固定された惑星は、常に同じ面を主星に向けて公転するため、片側は常に昼、反対側は常に夜となる極端な気候を持つ可能性があります。

TOI-700 bは、サイズが地球に近いものの、主星からの距離や推定される表面温度から、生命の存在に適したハビタブルゾーンからは外れていると考えられています。しかし、この星系にはハビタブルゾーン内に位置するとされるTOI-700 dのような別の惑星も発見されており、TOI-700星系は、多様な太陽系外惑星の研究において重要なターゲットの一つとなっています。

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