TYS夕やけニュースショー

テレビ山口（TYS）が平日の夕方に放送していた、山口県域を対象としたローカルワイドニュース番組です。短いスポットニュースが主流だった時代に、30分間という長時間枠での放送に挑戦し、その後の地方局における報道スタイルの先駆けの一つとなりました。番組は1975年 3月31日にスタートし、途中改題を経て1985年まで続きました。

番組誕生の背景

1970年に開局したテレビ山口は、その後の5年間、短い数分間のニュースしか放送していませんでした。しかし、開局5周年を迎えるにあたり、より詳細な情報を提供できる長時間ワイドニュース番組の構想が持ち上がります。当時の社内では、30分枠でのニュース制作に対する反対意見が多くを占めていました。これは、ローカル局にとって、ニュースだけで30分間という枠を埋めることは技術的にも人員的にも非常に困難であったためです。また、報道に必要なフィルムの使用が厳しく制限されており、長時間のカメラ稼働や多数のスチール撮影が容易ではなかったことも、制作のハードルを高めていました。

このような状況下で、初代キャスターを務めることになった吉田聖氏らが中心となり、番組の企画や内容の検討が進められました。1975年当時、ローカルニュースを30分以上の枠で放送している放送局は全国的に見てもごく少数でした。他局に先駆け、あるいは同時期にこのような挑戦を始めた局としては、青森放送の『RABニュースレーダー』、毎日放送の『MBSナウ』、中部日本放送の『CBCニュースワイド』、静岡放送の『SBSテレビ夕刊』などがありました。山口県内の他の放送局も、この時期にはまだ本格的なワイドニュースを放送していなかったか、一時中断している状況でした。まさに、『TYS夕やけニュースショー』の開始は、ローカルテレビ局による報道姿勢における画期的な挑戦だったと言えます。

番組内容と変遷

1975年 3月31日の記念すべき初回放送では、中国自動車道の山口インターチェンジから小郡インターチェンジまでの区間が開通した際の式典の模様が伝えられました。番組がスタートした当初は、ニュースだけでなく、地域の様々な話題を取り上げるインタビューコーナーや、山口県の主要産業である農業や漁業に関する特集コーナーなども設けられていました。番組タイトルに「ニュースショー」と付けられていたのは、このようなニュース以外の要素も含まれていたためです。

しかし、時間の経過とともに番組の柱はニュース報道に移っていきました。その結果、開始から約9ヶ月後の1976年12月には、タイトルから「ショー」が外され、『TYS夕やけニュース』と改題されました。この改題後も番組は放送を続け、地域住民にとって欠かせない情報源として親しまれ、1985年まで放送されました。

番組タイトルの由来

番組名の決定には、制作陣も頭を悩ませたと言われています。番組ディレクターが多くのタイトル案を考案したものの、どれも決定打に欠けていました。そうした中、当時の編成部長がディレクターに対し、「たとえば、『夕やけニュース』というのはどうか」と提案しました。この言葉を聞いたディレクターはすぐに採用を決定したと伝えられています（『テレビ山口二十年史』より）。その背景には、「夕やけ」という言葉が、子供からお年寄りまで幅広い世代に親しみやすく、温かみや一日の終わりを告げるニュース番組にふさわしいと考えられたことがあります。

その後

『TYS夕やけニュース』の放送終了から時を経て、2001年4月から2005年3月までの期間、本番組のリメイク版とも言える『夕やけニュース21』が放送されました。これは、『TYS夕やけニュースショー』初回放送からちょうど30年という節目の時期にあたります。

歴代キャスター

番組を支えた主なキャスターとしては、立ち上げに関わった吉田聖氏をはじめ、伊藤英春氏、小林真人氏などが名を連ねています。彼らの存在が、番組に信頼性と親しみやすさをもたらしました。

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