Terra-3

Terra-3は、カザフスタンのカラガンダ州シャリー・シャガンに位置していた、旧ソビエト連邦の弾道ミサイル迎撃実験を目的としたレーザー施設です。

開発の経緯

ソビエト連邦におけるレーザー兵器の開発は、1960年代半ばに遡ります。1964年から1965年にかけて研究が開始され、ヴィーンペル設計局が開発の中心的な役割を担いました。1970年代には、研究目的のためにTerra-3施設が建設されました。

Terra-3の主な目的は、弾道ミサイルと衛星攻撃兵器の開発でした。しかし、迎撃に使用できるほどの出力を持つレーザーの開発は困難を極めました。アストロフィジカ高エネルギールビーレーザーや二酸化炭素レーザーの開発が難航したものの、限定的ながら対衛星兵器として機能する、原始的な光学センサー無力化装置（ダズラー）が完成しました。

対シャトル照射事件

1984年10月10日、ソビエト連邦の国防大臣であったドミトリー・ウスチノフは、アメリカ合衆国が発表した戦略防衛構想（SDI）計画と、スペースシャトルの軍事利用に対抗する措置として、スペースシャトル・チャレンジャー号に対してレーザー照射を命じたとされています。この時チャレンジャーは、STS-41-Gミッションで施設上空を通過中でした。

伝えられるところによると、シャトルは低出力のレーザー光によって照射されたものの、搭載機器が一時的に故障し、乗員に不快感を与えたとされています。アメリカ合衆国政府は、この事件に対して外交ルートを通じて抗議を行いました。

しかし、この事件については、STS-41-Gに搭乗していた乗員や、アメリカの情報機関に所属する関係者の間では広く否定されています。事件そのものが無かったか、あるいは誇張された内容であった可能性が指摘されています。

Terra-3施設は、冷戦時代における米ソの技術競争を象徴する存在であり、レーザー兵器開発の歴史において重要な役割を果たしました。その実態は謎に包まれている部分も多く、様々な憶測を呼んでいます。

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