Terrestrial Planet Finder

テレストリアル・プラネット・ファインダー（TPF）とは

テレストリアル・プラネット・ファインダー（Terrestrial Planet Finder, TPF）は、アメリカ航空宇宙局（NASA）がかつて計画していた、地球のような太陽系外惑星を探査するための宇宙望遠鏡ミッションです。この計画では、異なる二つの手法を用いた宇宙望遠鏡の開発が予定されていました。一つは複数の小型望遠鏡を組み合わせた干渉計「TPF-I」、もう一つは大型のコロナグラフ望遠鏡「TPF-C」です。しかし、度重なる延期を経て、2011年に計画は中止されました。

TPFの目的

TPFの主な目的は、以下の3点に集約されます。

1. 系外惑星の発見: 恒星の強烈な光を遮断し、その周囲を公転する、より小さく暗い系外惑星を直接観測すること。
2. 惑星の特徴調査: 発見された系外惑星の表面や大気の特徴を詳しく調べること。
3. 生命の痕跡探索: 惑星の大気中に含まれる化学物質から、生命の存在を示す手がかりを探すこと。

2つの異なるアプローチ

TPF計画では、上記目標を達成するために、特徴的な2種類の宇宙機が開発される予定でした。

TPF-I (赤外線干渉計)

複数の小型望遠鏡を組み合わせた干渉計を使用。
光の干渉を利用し、恒星の光を100万分の1まで減衰させ、惑星からの微弱な赤外線放射を検出。

TPF-C (可視光コロナグラフ)

ハッブル宇宙望遠鏡の3～4倍の口径を持つ大型望遠鏡を使用。
特殊な光学系を使い、恒星の光を10億分の1まで減衰させ、惑星からの反射光を検出。

計画の歴史

2002年5月、NASAはTPFのコンセプト機として、上記2つの異なる手法を採用しました。これらの計画は、2014年頃にTPF-C、2020年頃にTPF-Iの打ち上げを目指していました。

しかし、2006年2月、NASAの2007年度予算において、TPFプロジェクトは無期限延期となります。その後、アメリカ合衆国下院小委員会がTPFへの財政支援を決議するなどしましたが、上院で無期限延期となり、最終的に資金調達の目処が立たないまま、2011年6月に計画中止が決定しました。

計画中止後の影響

TPF計画は中止となりましたが、その技術開発は後の宇宙探査ミッションに影響を与えています。例えば、系外惑星観測の技術開発や、地球型惑星探査の重要性に対する意識向上に貢献したと言えるでしょう。

関連する宇宙ミッション

TPF計画と関連する主な宇宙ミッションは以下の通りです。

COROT: フランスの宇宙望遠鏡で、系外惑星探査を実施。（2012年まで運用）
ケプラー: NASAの宇宙望遠鏡で、多数の系外惑星を発見。（2009年～2018年運用）
高精度視線速度系外惑星探査装置 (HARPS): 地上望遠鏡で、視線速度法を用いて系外惑星を観測。（2003年より運用中）
自動惑星検出望遠鏡 (APT): 地上望遠鏡で、100光年以内の系外惑星を観測。（2013年より運用中）
TESS: NASAの宇宙望遠鏡で、系外惑星のトランジット観測を実施。（2018年より運用中）
ジェイムズ・ウェッブ[[宇宙望遠鏡]] (JWST): NASAの次世代宇宙望遠鏡で、系外惑星の大気観測などを行う。（2021年打ち上げ）
ダーウィン: 欧州宇宙機関（ESA）が計画していた系外惑星探査計画。（2007年開発中止）
New Worlds Mission: 既存の宇宙望遠鏡に遮光円盤を取り付けて観測する計画。
SIM: NASAの宇宙観測計画で、アストロメトリー観測を行う。（2010年計画中止）

まとめ

TPFは、地球型系外惑星の直接観測を目指した野心的な計画でしたが、資金難のため実現には至りませんでした。しかし、その技術開発や探査目標は、後の宇宙探査ミッションに大きな影響を与え、系外惑星探査の進歩に貢献しています。

外部リンク

NASA Planet Quest: Terrestrial Planet Finder
Terrestrial Planet Finder Mission Profile by NASA's Solar System Exploration
Canceling NASA's Terrestrial Planet Finder: The White House's Increasingly Nearsighted "Vision" For Space Exploration
Congressional Inaction Leaves Science Still Devastated. Planetary Society (2006-11-26).
Current status of TPF development work (March 2007)
* Interferometric Nulling at TNO

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