Tops with Pops

トムとジェリー短編：Tops with Pops (1957)

1957年2月22日に公開された「Tops with Pops」は、人気アニメーションシリーズ『トムとジェリー』の短編作品の一つです。この作品は、ハンナ＝バーベラ・プロダクションによって1956年から1957年にかけて制作された、シネマスコープによるリメイクシリーズの第4作目に当たります。

特筆すべきは、本作が1949年公開の短編アニメーション作品「ここまでおいで」のリメイクである点です。オリジナル版をベースに、より洗練されたアニメーション技術とシネマスコープによるワイド画面表現を取り入れることで、新たな魅力が加えられています。

制作スタッフと背景

この作品は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラという、トムとジェリーシリーズを代表する二人によって製作・監督されました。音楽はスコット・ブラッドリーが担当し、アニメーション制作はエド・バージ、レイ・パターソン、アーヴィン・スペンス、ケネス・ミューズといったベテランスタッフが中心となって行われました。背景画はドン・ドリスコール、レイアウトはディック・ビッケンバッハが担当するなど、制作陣の顔ぶれも豪華です。

原作からの変更点と共通点

「Tops with Pops」は「ここまでおいで」をベースにしていますが、単純な焼き直しではありません。アニメーションの背景やキャラクターの描写、そして画面構成など、多くの部分で変更が加えられています。特に、シネマスコープによるワイド画面は、視覚的なインパクトを大きく変えています。

しかし、音楽に関しては原作をほぼ踏襲している点が興味深い点です。ただし、トムの絶叫シーンなどに追加や修正が加えられているなど、細かな部分でのアレンジは存在します。この音楽の共通性は、原作に対するリスペクトと、一方で新たな表現を取り入れるという両面性を示唆しています。

日本のテレビ放送とDVD収録

日本では、TBS系列で放送されたトムとジェリー作品群の中に、「Tops with Pops」は含まれていませんでした。そのため、日本の多くの視聴者にとって、本作は馴染みの薄い作品と言えるでしょう。また、DVDソフトにも収録されておらず、長らく視聴が困難な状況が続いていました。これは、権利関係や当時の放送事情など、様々な要因が絡み合っていると考えられます。

まとめ

「Tops with Pops」は、古典的なトムとジェリー作品を現代的な技術で再構築した、貴重なリメイク作品です。オリジナル版への敬意を払いながらも、新たな表現に挑戦したその姿勢は、アニメーション制作の歴史において重要な位置を占めていると言えます。しかし、日本での公開状況を鑑みると、その魅力を多くの人に知ってもらうためには、今後の再放送やDVD化などの取り組みが望まれる作品でもあります。

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