Trillian

Trillian: 複数のIMサービスを統合するメッセンジャー

Trillianは、Cerulean Studiosが開発したWindows向けのインスタントメッセンジャーソフトウェアです。このソフトウェアの最大の特徴は、複数のIM（インスタントメッセンジャー）サービスを一つのインターフェースで利用できる点にあります。

対応サービス

Trillianは、以下の主要なIMサービスに対応しています。

AIM
ICQ
Windows Live メッセンジャー
Yahoo! Messenger
IRC
GroupWise Messenger
Bonjour
XMPP (Google Talkなど)
* Skype

Trillian Proでは、これらのサービスに加えて、より多くのプラグインが利用可能です。Trillian Astraでは、これらのプラグインがBasic版にも含まれるようになりました。

開発の歴史

Trillianは、当初2000年7月1日にフリーウェアのIRCクライアントとしてリリースされました。その後、2002年9月10日に初の商用版であるTrillian Pro 1.0が発売されました。名称は、ダグラス・アダムズのSF小説『銀河ヒッチハイクガイド』に登場するキャラクターに由来しています。

主な機能と特徴

複数のIMサービスへの接続

Trillianは、複数のIMサービスに同時に接続できるため、複数のクライアントソフトを起動する必要がありません。これにより、ユーザーは一つの画面で全ての連絡先とコミュニケーションを取ることができます。また、同一のサービスに複数のアカウントで接続することも可能です。

コンタクトリストの管理

全ての連絡先は、一つのコンタクトリストに集約されます。コンタクトは、IMサービスごとにグループ化できるだけでなく、ドラッグ＆ドロップで自由にグループを作成できます。Trillianでは、各IMサービスが異なる色の球で表現されており、視覚的に区別できるようになっています。

メタコンタクト

Trillian Proでは、メタコンタクト機能を利用して、同じ人物に属する複数の連絡先を一つのエントリにまとめることができます。これにより、コンタクトリストが整理され、より使いやすくなります。

活動履歴

Trillian BasicとProの両方に活動履歴機能があります。履歴は、テキストファイルやXMLファイル形式で保存でき、Pro版ではブックマーク機能も利用可能です。

タイムトラベル

Trillian Proには、ビデオや音声セッション中に巻き戻し、一時停止、早送りなどの操作が可能な「タイムトラベル」機能があります。ただし、未来へのタイムトラベルは不可能とされています。

ウィキペディア検索

バージョン3.0以降、会話中にユーザーが単語を入力すると、Trillianはウィキペディアのデータベースを検索し、該当する記事の冒頭部分をツールチップで表示したり、ブラウザで記事を表示したりすることができます。

Emotiblips

Emotiblipsは、絵文字のビデオ版で、動画セッション中にリアルタイムで映像や音楽を送信できます。MP3、WAV、WMV、MPGなどのファイル形式に対応しています。

隠し絵文字

バージョン2.0以降、デフォルトの絵文字セットには、メニューには表示されない隠し絵文字が含まれており、会話中に利用できます。

スキンとインターフェース

Trillianは、独自のスキンエンジンSkinXMLを搭載しており、様々なスキンを利用してインターフェースをカスタマイズできます。スキン用言語Stixeもあり、スキン作成者が素材を共有できるようになっています。Trillian Astraでは、Trillian Cordonataという新しいフロントエンドデザインが採用されました。

プラグイン

Trillianは、クローズドソースでありながら、Pro版ではプラグインによる機能拡張が可能です。Cerulean Studios自身が開発したプラグインには、スペルチェック、天気モニター、ミニブラウザ、Winampの曲名表示、株式市場モニター、RSSフィードリーダーなどがあります。また、サードパーティ製のプラグインも多数存在します。

Trillianの進化

Trillianは、初期のIRCクライアントから、複数のIMサービスに対応したメッセンジャーへと進化を遂げました。

相互運用性の導入

2000年1[[1月29日]]にリリースされたバージョン0.6では、AOL Instant Messenger、ICQ、MSN Messengerへの同時接続が可能になり、大きな変革を迎えました。その後、Yahoo! Messengerのサポートも追加されました。

「IM戦争」の主役へ

Trillianは、各IMサービスとの互換性を維持するために、AOLやYahoo!などとの間で数々の技術的な戦いを繰り広げてきました。特に、AIMとの接続問題は、幾度となくブロックと回避が繰り返されました。

Trillian Proの商用化

2002年9月9日には、商用版Trillian Pro 1.0と無料版Trillian Basic 0.74が同時にリリースされました。Trillian Proは、企業向けのコミュニケーションツールとしても展開されました。

その後の展開

Trillianは、Gaim（現Pidgin）との協力や、マイクロソフトとの連携を経て、その機能と安定性を高めてきました。また、Trillian 3シリーズでは、ビデオチャットや音声チャット機能が追加されました。

U3とGoogleパック

Trillianは、U3規格のUSBフラッシュドライブからの利用を可能にしたほか、一時的にGoogleパックにも含まれていました。

Trillian Astra (Trillian 4)

Trillian 3.1から数年後には、Trillian Astra (Trillian 4) がリリースされ、高速化と新しいログイン画面が導入されました。

まとめ

Trillianは、複数のIMサービスを統合し、ユーザーのコミュニケーションを効率化する多機能なメッセンジャーソフトウェアです。その開発の歴史は、技術的な挑戦とユーザーコミュニティの支持によって支えられてきました。

参考: Trillian website

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