Twentieth Anniversary Macintosh

Twentieth Anniversary Macintosh (TAM) - 20周年を記念した特別なマシンの詳細解説

Twentieth Anniversary Macintosh（TAM、20周年記念マック）は、1997年にApple Computer（現Apple）が創業20周年を記念して限定販売したパーソナルコンピュータです。開発コードネームはSpartacus、Smoke and Mirrors、Pomonaと複数存在しました。

概要

TAMは、7,499USドル（日本での当初直販価格は88万8,000円）という高価格で、アメリカ、日本、イギリス、フランス、ドイツの5カ国でのみ12,000台限定で発売されました。購入者には、3年間のハードウェア保証、ピックアップ＆デリバリーサービス、無料電話サポート、そしてコンシエルジュによる出張設置サービスといった手厚いサポートが提供されました。日本での設置サービスは、当時のアップル正規サービスプロバイダーである日本NCRなどが担当していました。

Appleの創業者であるスティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブズにもこのマシンが贈られました。ウォズニアックは自身のオフィスに設置したウェブカメラにTAMが映っていましたが、ジョブズはこのマシンを好まず窓から投げ捨てたという逸話も残っています。

歴史

TAMは、Apple Computerの創業20周年を記念して1997年に発売されました（実際の創業20周年にあたる日は1996年4月1日）。
1997年1月7日にサンフランシスコで開催されたMacWorld Expoで発表され、3月20日に予約受付が開始されました。日本では4月25日に発表会が行われ、予約受付開始がアナウンスされました。また、生産台数が12,000台に達した時点で金型を廃棄することも発表されました。
実際の出荷は同年6月に開始され、1998年3月に生産を終了しています。

仕様とデザイン

デザインは、IDEOの深澤直人とAppleのジョナサン・アイブが担当しました。TAMは、ディスプレイ一体型の本体、サブウーファーと電源を収めたベースユニット、トラックパッド付きのキーボードという3つの部分で構成されています。

当時のPCはベージュ色の筐体が主流でしたが、TAMはメタリックグリーンとゴールドの筐体が特徴的でした。この独特な外観は、パーソナルコンピューティングの未来を象徴するようにデザインされました。

PowerPC 603e 250MHzプロセッサを搭載し、デスクトップ型のMacとしては初めて液晶ディスプレイ（12.1インチ）を採用。本体正面には4倍速のCD-ROMドライブ、右側面にはFDドライブのSuperDrive、TV/FMチューナーを備えていました。しかし、2.5インチ2GBのATAハードディスクは動作が遅いものでした。

拡張スロットとして、7インチのPCIスロットと通信用拡張カードスロットが用意されていました。後に、サードパーティー製のPowerPC G3アップグレードオプションが登場しましたが、TAMのスリムなデザインを損なう必要がありました。

サウンドシステム

TAMは、高音質のサウンドを提供するために、音響機器メーカーのボーズと提携し、Acoustimassサウンドシステムを搭載しました。本体両脇に2インチのJewelスピーカーを埋め込み、低音用のサブウーファーを独立したベースユニットとして用意しました。ベースユニットには電源装置も内蔵されています。起動音もTAM限定のものが設定されていました。

キーボード

専用のADBキーボードには、レザー仕様のパームレストが付属しています。マウスの代わりにAppleトラックパッドが付属し、パームレストの中央に着脱可能でした。キーボードを使わない場合は、本体の筐体の下に収納できます。

対応OS

プリインストールされたオペレーティングシステムは、Mac OS 7.6.1の専用バージョンでした。Mac OS 9.1までアップグレード可能で、サードパーティー製のプロセッサアップグレードカードとXPostFactoソフトウェアを使用することで、Mac OS Xのいくつかのバージョンも動作させることができました。

評価

発売当初は高価でしたが、販売時期が進むにつれて値下げされ、最終的には1,995ドルで投げ売りされました。広告キャンペーンは好評でしたが、性能に対して価格が高すぎたため、売れ行きは伸び悩みました。しかし、そのデザインは高く評価され、グッドデザイン賞も受賞しています。

販売終了後

当時は売れ行きが芳しくありませんでしたが、現在ではコレクターの間で人気が高く、状態の良いものは高値で取引されています。Appleとスピーカーメーカーとの共同作業は、TAM以降も他の製品開発で行われました。

登場作品

バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲 - 執事のアルフレッド・ペニーワースと姪のバーバラ・ウィルソンとの会話のシーンに登場します。

関連項目

* iMac

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