UボートXXIII型

XXIII型Uボート：沿岸防衛を担った小型潜水艦

XXIII型Uボートは、第二次世界大戦中にドイツ海軍が開発した沿岸用潜水艦です。その特徴は、当時の潜水艦技術の粋を集め、水中での高い運動性能を実現した点にあります。ここでは、XXIII型Uボートの概要、設計思想、運用、そしてその後の評価について詳しく解説します。

概要

XXIII型Uボートは、XXI型Uボートと同様に、大容量のバッテリーを搭載することで、水中での高速航行を可能にした潜水艦です。これは、過酸化水素の分解を利用したヴァルター機関を搭載するヴァルターボートに対して、「電動ボート（エレクトロ・ボート）」と呼ばれました。沿岸部での作戦行動を想定し、小型化と機動性を重視した設計となっています。

設計のベースとなったのはXXII型Uボートですが、XXIII型は船体をより細長くすることで、水中抵抗を減らし、より高い速度性能を追求しています。主に北海での運用を想定していましたが、大戦末期に建造されたため、その活躍は限定的なものとなりました。

設計と特徴

XXIII型Uボートは、当時の最新技術を導入し、潜水艦の性能向上を目指した意欲的な設計がなされています。主な特徴は以下の通りです。

水中高速性能: 大量のバッテリーを搭載し、水中での高速航行を可能にしました。これにより、敵艦との遭遇を避けたり、攻撃後の離脱を迅速に行うことができました。
小型化: 沿岸部での作戦を考慮し、全長を34.68mに抑えた小型設計となっています。これにより、狭い海域での maneuverability が向上し、敵の目を欺くことが容易になりました。
ブロック工法: 他のUボートと同様に、ブロック工法を採用することで、生産効率を高め、短期間での大量建造を可能にしました。第二次世界大戦末期には、62隻が建造されました。

主要諸元

全長: 34.68m
全幅: 3.02m
喫水: 3.66m
排水量（水上/水中）: 234t / 258t
速度（水上/水中）: 9.7kt / 12.5kt
水上航続距離: 4,300海里（6.0kt時）
水中航続距離: 175海里（4.0kt時）
兵装: 53cm魚雷発射管×2（魚雷×2）
乗員: 14名

運用と評価

XXIII型Uボートは、第二次世界大戦末期に実戦投入されましたが、その数は限られており、大々的な作戦には参加していません。しかし、その実績から、理想的な沿岸型の小型潜水艦として高い評価を得ています。特に、その水中高速性能と maneuverability は、敵艦にとって大きな脅威となりました。

大戦終結後、多くのXXIII型Uボートは連合国によって処分されましたが、一部の艦は戦後も利用され、その高い性能を示しました。XXIII型Uボートは、小型潜水艦の可能性を追求し、その後の潜水艦技術の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

まとめ

XXIII型Uボートは、第二次世界大戦中にドイツ海軍が開発した沿岸用潜水艦であり、その小型かつ高性能な設計は、当時の潜水艦技術の粋を集めたものでした。大戦末期の限られた期間での運用でしたが、その実績は高く評価され、戦後の潜水艦開発にも影響を与えました。XXIII型Uボートは、小型潜水艦の歴史において、重要な位置を占める存在と言えるでしょう。

出典:
Williamson, Gordon (2006). Wolf Pack. Osprey Publishing. ISBN 1846031419
Williamson, Gordon; Ian Palmer (2002). Kriegsmarine U-boats 1939-45: Vol 2. Osprey Publishing. ISBN 1841763640
* Polmar, Norman; Jurrien Noot (1991). Submarines of the Russian and Soviet Navies, 1718-1990. Naval Institute Press. ISBN 0870215701

外部リンク:
Type XXIII at uboat.net

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