U型エンジン

U型エンジンについて

U型エンジンは、2つの直列エンジンをギアやチェーンで接続したレシプロエンジンであり、その形状から名付けられました。V型エンジンと同様にシリンダーバンクを2つ持つため、ダブルバンクエンジンやツインバンクエンジンと呼ばれることもあります。このエンジンは、部品の数が多く、質量が大きいため、現在ではあまり一般的ではありませんが、特定のアプリケーションにおいてはその設計が生かされています。

特徴と利点

U型エンジンの特徴として、まず直列エンジンの設計から多くの要素を流用できる点が挙げられます。これは、V型エンジンが一般化する前の時代に、既存の直列エンジンを基にしてより強力なエンジンを開発する手法として広く利用された歴史があります。また、クランク室を気筒ごとに独立して密閉する必要がある2ストロークエンジンの分野では、特に2輪車のGPレーサーにおいても採用されました。

U型エンジンと他のエンジンとの比較

U型エンジンは、水平対向エンジンを基にしたH型[[エンジン]]やV型エンジンを元にしたX型エンジンといったその他のエンジン型式と比較されることがあります。特にH型[[エンジン]]は「H」の字のようにレイアウトされるため、U型エンジンと対照的です。また、非常に特異な例として、カニの脚のような形を持つDB 606エンジンがあります。

U型エンジンの実例

ガソリンエンジン

ガソリンエンジンの例として、第一次世界大戦中の1916年にイギリスのデイムラーが開発したエンジンがあります。彼らは105馬力の直列エンジンを基にした二重直列レイアウトのエンジンを試作しましたが、これは試作段階で終わりました。

最初に実用化されたU型エンジンは、ブガッティのU16エンジンで、これは航空機用に設計されました。ブガッティは、このエンジンのライセンス供与を他のメーカーに行い、1915年から1916年にかけて40基が製造されました。さらに、特にフランスのブレゲーでは、U型エンジンを取り入れた航空機エンジンを製作しました。しかし、その後の自動車用途ではあまり広がらず、1928年にType45エンジンが設計されたものの、わずか2基の生産に留まりました。

また、マトラは1974年にU型8気筒エンジンを搭載した車両を開発しましたが、石油危機の影響で量産には至りませんでした。イギリスでは、デュプレックスがU型8気筒エンジンを試作しましたが、経済的な問題から1921年に倒産しました。

ディーゼルエンジン

U型エンジンはディーゼルエンジンの分野でも見ることができます。例えば、スルザー社は1930年代から70年代にかけて多数の鉄道用LDシリーズエンジンを開発し、その特徴的なレイアウトは多くの国の機関車に採用されることとなりました。特にイギリス国鉄では2000バワー級の機関車で採用されるなどして人気を博しましたが、1990年代には生産から撤退してしまいました。

U型エンジンのバリエーション

U型エンジンのクランクシャフトは通常同じ方向に回転しますが、一部のモデルでは逆回転する設計も存在します。この逆回転のレイアウトは、各シリンダーバンクの振動を打ち消す効果がありますが、高度な技術が求められます。

さらに、特異なエンジン形式としてタンデムツインエンジンがあり、これは2気筒を縦に配置したもので、特に二輪車での採用が目立ちます。カワサキはこのエンジン形式を使用し、1975年にKR350で成功を収めました。

結論

U型エンジンは、その独特な設計と歴史的背景を持っており、自動車や航空機、鉄道などのさまざまな分野で見受けられます。ある時代には新技術の象徴として多くの研究がなされましたが、現代ではあまり見られなくなったという特徴があります。しかし、そのユニークな設計は機械工学やエンジン技術の一部として今も語り継がれています。

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