UFC 17

UFC 17: Redemption - 総合格闘技の歴史に刻まれた一夜

1998年5月15日、アメリカ合衆国アラバマ州モービルのモービル市民センターは、熱狂的な格闘技ファンで埋め尽くされていた。その理由は、UFC（Ultimate Fighting Championship）の大会、UFC 17: Redemptionの開催である。この大会は、後のMMA（Mixed Martial Arts）の歴史に大きな影響を与える数々の出来事が起きた、記念すべきイベントとなった。

メインイベントとミドル級トーナメント

大会のメインイベントは、UFC世界ミドル級（後のライトヘビー級）タイトルマッチ。王者フランク・シャムロックと挑戦者ジェレミー・ホーンによる激戦は、シャムロックの圧倒的な実力を見せつける結果となった。シャムロックは、卓越したグラップリング技術を駆使し、ホーンを下し、見事2度目の王座防衛に成功した。

一方、同大会ではミドル級トーナメントも開催され、大きな話題を呼んだ。このトーナメントは、後にUFCを代表する選手となるダン・ヘンダーソンにとって、UFCデビュー戦となった。ヘンダーソンは、その卓越した打撃とレスリングを武器に、アラン・ゴエス、カーロス・ニュートンと強豪たちを次々と撃破。見事、トーナメント優勝を果たした。ニュートンもこの大会がUFCデビュー戦だった。

新星リデルの登場と歴史的瞬間

UFC 17では、後にUFCライトヘビー級王者となるチャック・リデルが総合格闘技デビューを果たした。リデルは、ノエ・ヘルナンデスとのリザーブマッチを制し、その後の輝かしいキャリアの幕開けを飾った。ヘンダーソンとリデル、2人の若き才能のデビューは、この大会の大きな見どころの一つであった。

さらに、UFC 17は、UFCでトーナメントが開催された最後の大会（UFC 23を除く）という点でも、歴史的な意義を持つ。今後のUFC大会における試合方式の方向性が示唆されたと言えるだろう。

ジェフ・ブラトニックとMMAの名称

UFCの解説者として知られるジェフ・ブラトニックは、この大会からコミッショナーに就任した。就任会見で、ブラトニックはメディアに対し、当時、総合格闘技は「No Holds Barred」など様々な名称で呼ばれていたことに触れ、スポーツとしてのイメージ向上のため、今後は報道において「Mixed Martial Arts（MMA）」という名称を使用するよう要請した。この発言は、MMAという名称が一般的に認知されるきっかけとなり、ブラトニックはMMAという言葉の普及に大きく貢献したとされている。

試合結果詳細

大会では、メインイベント以外にも数多くの白熱した試合が繰り広げられた。ヘビー級ではアンドレ・ロバーツ、タンク・アボット、ピート・ウィリアムスらが勝利を収め、その強さを証明した。それぞれの試合は、KO、一本、判定と様々な形で決着し、観客を魅了した。各試合の詳細は以下の通りである。

第1試合：チャック・リデル vs. ノエ・ヘルナンデス（判定3-0、リデル勝利）
第2試合：アンドレ・ロバーツ vs. ハリー・モスコヴィッツ（1R 3:15 KO、ロバーツ勝利）
第3試合：ダン・ヘンダーソン vs. アラン・ゴエス（判定3-0、ヘンダーソン勝利）
第4試合：カーロス・ニュートン vs. ボブ・ジルストラップ（1R 0:52 三角絞め、ニュートン勝利）
第5試合：マイク・ヴァン・アースデイル vs. ジョー・パルド（1R 11:01 V1アームロック、ヴァン・アースデイル勝利）
第6試合：タンク・アボット vs. ウゴ・デュアルチ（1R 0:43 TKO、アボット勝利）
第7試合：ダン・ヘンダーソン vs. カーロス・ニュートン（判定2-1、ヘンダーソン勝利）
第8試合：ピート・ウィリアムス vs. マーク・コールマン（1R 12:38 KO、ウィリアムス勝利）
* 第9試合：フランク・シャムロック vs. ジェレミー・ホーン（1R 16:28 膝十字固め、シャムロック勝利）

UFC 17: Redemptionは、多くのスター選手を輩出し、MMAという格闘技の認知度を高めた歴史的な大会として、今もなお語り継がれている。

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