UFO銀

UFO銀：独特の3六銀型が織りなす戦略

UFO銀は、相掛かりの局面において先手が採用する独特な戦法です。その名の通り、飛車を囲わずに銀を3六に進出させる点が大きな特徴です。一見すると原始棒銀と似ていますが、その戦略や狙いは大きく異なります。

原始棒銀との違いと狙い

原始棒銀は、2五の地点に銀を進出させることで、相手の陣形を崩し、積極的に攻め込むことを目指します。しかし、後手が△3三角-△2二銀-△3二金と駒組みされると、▲2五銀と進出しても△3五歩と受けられてしまうため、効果が限定的です。

対してUFO銀は、銀を3六に据えることで、相手の駒組みを牽制し、作戦勝ちを狙います。後手が△3三角-△2二銀-△3二金と組むことを強要することで、先手は柔軟な作戦展開が可能になります。3六の銀は、後手の2筋を睨んでおり、△3三桂と銀の進出を抑え込もうとすると、先手は▲2四歩から横歩取りを仕掛けられます。また、状況に応じて銀を腰掛け銀に活用するなど、臨機応変な対応も可能です。

戦術と応用

UFO銀の戦術は、相手の反応を見ながら柔軟に変化していきます。後手が△2四歩-△2三銀型のような持久戦を選択した場合、先手は慎重に陣形を整え、じっくりと攻め込みを図る必要があります。安易に▲7六歩を突くと、△8六歩から横歩をさらされるリスクがあります。また、7六の歩を突かない場合、飛車先交換から△3六飛～△5五角と、後手が強力な攻めを仕掛けてくる可能性もあるため注意が必要です。

実戦例と棋士

UFO銀は、プロの将棋界でも用いられています。2008年の名人戦では6局中3局でUFO銀が登場し、その有効性が示されました。山崎隆之八段や宮坂幸雄九段など、多くの棋士がUFO銀を研究し、得意戦法として用いています。

第11回朝日杯将棋オープン戦一次予選の大石直嗣七段対藤井聡太七段戦では、後手藤井七段が△2四歩-△2三銀型を採用し、持久戦となりました。また、2018年10月24日に行われた第77期順位戦B級1組7回戦の山崎隆之八段対斎藤慎太郎八段戦では、飛車先交換から△3六飛～△5五角の攻撃が繰り広げられ、UFO銀の複雑さ、そして柔軟な対応が求められる点が示されました。

まとめ

UFO銀は、原始棒銀とは異なる発想に基づいた、奥深い戦法です。3六の銀という独特の陣形と、相手の反応を伺いながら柔軟に作戦を展開する柔軟性が、この戦法の魅力と言えるでしょう。現代将棋においても、その有効性は高く評価されており、今後も多くの棋士によって研究され、用いられていくことが期待されます。 将棋の戦術の多様性を示す好例と言えるでしょう。 今後の将棋界におけるUFO銀の動向にも注目が集まります。

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