VEMAC

VEMAC（ヴィーマック）について

VEMAC（ヴィーマック）は、東京R&Dとイギリスに拠点を置くヴィーマック・カー・カンパニーによってデザインされた少量生産のスポーツカーです。この車は特にレーシングカー「カドウェル」の成功を受けて、1998年に設立されたVEMAC社を通じて誕生しました。

設立の背景

当時、東京R&Dの顧問であった畑川治氏は、取締役である小野昌朗氏に対し、「カドウェルのロードバージョンを作成してはどうか」という提案をしました。この構想は、スポーツカーの発展が盛んなイギリスで進められ、ここでは元レーシングドライバーのクリス・クラフト氏も協力に参加しました。クリス・クラフト氏は、以前にゴードン・マレーと共にロケットの開発にも携わっていた経歴があります。

さらに、アメリカのIT事業家であるヴァーノン・フォザリンガム氏も開発に関与し、東京R&Dとの合弁によりVEMAC社が設立されました。そして、同年には製造と販売を専門に扱う「ヴィーマック・カー・カンパニー」がイギリスのエセックスで設立され、クリスの息子であるルーク・クラフト氏が社長に就任しました。

車両開発

1999年にはクレイモデルが完成し、「CR（Cadwell Road version）」プロジェクトとして正式にスタート。開発車両は「FOTON」とコードネームで呼ばれ、国際チームが力を合わせて取り組みました。エンジンには、信頼性と環境への配慮を両立させたホンダ製の直列4気筒エンジンが採用され、自社開発の変速機と組み合わせて搭載されました。また、フレームは東京R&Dの実績のあるスチールチューブフレームを使用しました。

車名「VEMAC」は、開発に深く関わったヴァーノン、昌朗、クリスのそれぞれの名前の頭文字から名付けられ、車種名「RD」は東京R&Dにちなんでいます。2000年には初代モデル「RD180」の製造が開始され、その後、2004年には「RD200」へとフルモデルチェンジしました。

モデルの詳細

RD180

初代モデル「RD180」は、ホンダのB18C型1.8L水冷直4VTECエンジンを搭載し、ミッドシップ配置で縦方向に設置されました。このモデルは最高出力180psを誇り、車両重量は950kg、パワーウェイトレシオは5.28kg/psで、運動性能が非常に優れています。

RD200

RD180の後継車として、RD200は2004年に登場。K20A型2.0L水冷直4i-VTECエンジンを搭載し、縦置きから横置きにレイアウトが変更されました。最高出力は220psに向上し、車重は890kg、パワーウェイトレシオは4.05kg/psに改善されました。価格は867万3千円でしたが、生産台数は20数台と極めて限られています。

RD320R・RD350R・RD408R

これらのモデルは、主に全日本GT選手権やSUPER GTのGT300クラスで使用されるレース車両として開発され、多くの競技で活躍しました。さらに、RD408Hは2005年に発表されたハイブリッドモデルで、モーターとエンジンの組み合わせにより高出力を実現しました。

現在の状況

残念ながら、2009年以降は公式サイトの更新も途絶えており、現状に関する公式リリースも出されていません。ヴィーマック・カー・カンパニーは2016年に事業を休止し、2019年には法人として解散しています。顧客にとって貴重な存在であったVEMACですが、その消息は不明のままとなっています。

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