VIS (汎用機)

VIS（Versatile Information System）及びVIS IIは、日本電気（NEC）が提供するメインフレーム、具体的にはACOS-4やACOS-2上で動作するデータ管理システムです。これらのシステムは、企業や組織における大規模なデータ管理と処理を効率的に行うために設計されています。

概要

VISは、データベース管理システム（DBMS）として、階層型データベースであるADBSや、関係データベース管理システム（RDBMS）であるRIQS/RIQS IIを基盤として構成されています。これにより、データの構造化、格納、および効率的な検索が可能になります。これらのDBMSの選択は、システムの要件や利用目的に応じて柔軟に行えます。

通信プロトコルに関しては、基本的にはDINAプロトコルが使用されます。これは、NECのメインフレーム環境において標準的なプロトコルであり、VISの主要な通信基盤を形成しています。しかし、TP-UIのような拡張製品を導入することで、TCP/IPプロトコル、さらにはその上位層に位置するHTTP/HTTPSなどの様々な通信プロトコルにも対応することができます。これにより、より広範囲なネットワーク環境でのデータアクセスと連携が可能になり、システムの拡張性と柔軟性が大きく向上します。

かつては、NECのUNIX環境であるUX/4800上で動作するOracleやInformixなどのオープン系RDBMSとの接続機能も提供されていました。これにより、メインフレーム環境とオープンシステム環境間のデータ連携が容易に行えるようになりました。しかし、NECが国産UNIXからの撤退を決定したため、この機能は現在では放棄されています。この状況は、メインフレーム環境に特化したVISの現状を示しています。

OSIプロトコルとの接続においては、フロントネットワークプロセッサ（FNP）としてUP4800を導入する形態が採用されていました。具体的には、メインフレームとサーバ間はDINAプロトコルで接続し、サーバと端末間はOSIプロトコルで接続するという構成です。この構成は、郵政省（現在の日本郵政グループ）の簡易保険システムなどで活用され、当時のネットワーク環境における重要な役割を果たしました。これは、VISが単一のプロトコルにとどまらず、多様なネットワーク環境に対応できる柔軟性を示しています。

VISの競争相手

VISは、メインフレーム環境におけるデータ管理システムとして、他のベンダーの製品と競合していました。主な競合製品としては、以下のものがあります。

IMS (Information Management System) - IBM: IBMが提供するメインフレーム向けのデータベース管理システムであり、高度なトランザクション処理能力を特徴としています。
AIM (Advanced Information Manager) - 富士通: 富士通が提供するメインフレーム向けシステムであり、高度なデータ管理機能と業務処理能力が特徴です。
* XDM (eXtended Data Manager) - 日立製作所: 日立製作所が提供するメインフレーム向けのデータ管理システムであり、大規模なデータベースの管理と処理に強みを持っています。

これらの製品は、それぞれ異なる強みを持っており、顧客のニーズに応じて選択されていました。VISは、NECのメインフレーム環境に特化したデータ管理システムとして、これらの競合製品と差別化を図っていました。

VISとその関連技術は、メインフレーム環境におけるデータ管理の重要な側面を担っており、企業の基幹システムを支える上で欠かせない存在でした。その歴史を通じて、技術の進歩と市場の変化に対応しながら、その役割を果たしてきました。現在ではメインフレームシステム自体の利用が縮小傾向にありますが、過去の重要な技術として、その存在は記憶されるべきでしょう。

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