VRSm3電車

フィンランドを駆ける高速鉄道 Sm3(ペンドリーノS220)

Sm3(ペンドリーノS220)は、フィンランド国鉄VRグループが運行する、車体傾斜式の高速鉄道車両です。イタリアのフィアット社（後にアルストムが鉄道部門を買収）によって製造され、フィンランド各地の主要都市を結ぶ重要な役割を担っています。この車両は、4両の電動車と2両の付随車からなる6両編成で運行されています。

1995年11月27日に営業運転を開始し、2006年までに18編成が導入されました。最初の2編成は、フィンランドの企業であるラウタルーッキとトランステックによって製造されています。

ペンドリーノシリーズの一員

Sm3は、ペンドリーノシリーズの一種であり、機能的にはETR460を基本としています。最高運転速度は220km/hで、試験走行では248km/hを記録しています。ただし、この最高速度に達するのはケラヴァ・ラハティ間のみで、その他の区間では制限速度内で運行されています。

フィンランドでは、一般的に「ペンドリーノ」と呼ばれ、フィンランド鉄道の時刻表では「S」と表記されています。また、「Sm」という表記から、「ペンド」や「電気の虫(Sähkömato)」という愛称で親しまれています。

車体傾斜システムの導入

1990年代にペンドリーノシステムが採用された背景には、フィンランドの鉄道網の多くが曲線区間が多いという自然条件がありました。車体傾斜制御により、曲線区間でも乗客の快適性を損なわずに高速運転が可能となり、鉄道路線を再整備するよりも安価に済むという利点がありました。

この車体傾斜制御のおかげで、他のヨーロッパ諸国のTGV、タリス、AVEなどの高速列車のように、専用の高速新線を必要とせずに、既存の鉄道路線を活用することができました。最高速度は300km/hを超えることはできませんが、標準的な列車として広範囲な鉄道路線で運行できるという利点を生かしています。

フィンランドの人口密度が低いことから、高速新線の建設は経済的ではないという理由もあり、既存の路線を最大限に活用できるペンドリーノシステムの導入は、合理的でした。

車内設備

Sm3の車内設備は、長距離移動でも快適に過ごせるように工夫されています。各座席には、ラジオや音楽チャンネルが楽しめるイヤホンソケット付きのオーディオ装置が設置されています。また、パソコンなどの電子機器を使用するための電源コンセントも備えられています。

さらに、食事や軽食を楽しめるバースタイルのビストロも設置されており、乗客は移動中もリラックスした時間を過ごすことができます。

参考文献

地球の歩き方　世界の高速鉄道　ダイヤモンド・ビッグ社　三浦幹男・秋山芳弘著　205-209頁

外部リンク

VR introduction page for the Sm3 Pendolino (フィンランド語)
* Pictures

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