Workload Partition

Workload Partition (WPAR) について

Workload Partition（WPAR）は、IBMのAIXオペレーティングシステム上で動作する、ソフトウェアによる仮想化技術の一つです。AIX 6.1で導入され、アプリケーションの独立した実行環境を提供するとともに、システムリソースの効率的な管理を可能にします。WPARは、物理的なハードウェアを分割するのではなく、オペレーティングシステム内部で仮想的な区画を作成することで、複数のアプリケーションやサービスを独立して実行できるようにします。

WPARの概要

WPARは、AIXの単一インスタンスから作成され、そのリソースを共有するソフトウェアによるパーティションです。AIX 6.1以降をサポートするすべてのSystem pおよびPower Systems上で、複数のWPARを同時に実行できます。WPARには、大きく分けて「システムWPAR」と「アプリケーションWPAR」の2種類があります。

システムWPAR

システムWPARは、より包括的な仮想環境を提供します。これは、物理的なLPAR（Logical Partition）や完全に独立したシステムに類似しており、独自のファイルシステム、ユーザー、グループ、ログイン環境、ネットワークスペース、および管理ドメインを持ちます。システムWPARは、独立したシステムのように動作しますが、基盤となるAIXカーネルはすべてのWPARで共有されます。これにより、システムリソースの効率的な利用と、各WPAR間での独立性を両立させることができます。

アプリケーションWPAR

アプリケーションWPARは、システムWPARよりも軽量な仮想環境です。主に、単一または複数のアプリケーションプロセスを実行するための隔離された環境を提供します。アプリケーションWPARは、システムWPARに比べてリソース消費が少なく、迅速な展開が可能です。特定のアプリケーションを隔離して実行したい場合や、リソース効率を重視する場合に適しています。

Live Application Mobility

Live Application Mobilityは、WPARの高度な拡張機能であり、稼働中のワークロードをある物理マシンから別の物理マシンへ移動させることを可能にします。この機能は、システムのメンテナンスやハードウェアのアップグレード、計画停止時などに非常に役立ちます。Live Application Mobilityを利用することで、サービスを中断することなく、システムリソースの移動や再配置を柔軟に行うことができます。AIX 6.1 TL04以降では、NFS（Network File System）に加えて、SAN（Storage Area Network）も利用できるようになり、より多様な環境でのデータ移動が可能です。

WPARのメリット

WPARを利用することには、以下のようなメリットがあります。

リソース効率の向上: 複数のアプリケーションを単一のシステム上で独立して実行できるため、ハードウェアリソースの利用効率が向上します。
セキュリティの強化: 各WPARは隔離された環境で動作するため、他のWPARやシステム全体への影響を最小限に抑えることができます。
柔軟なシステム管理: WPARの作成や削除、移動が容易に行えるため、システム環境の変化に柔軟に対応できます。
コスト削減: 物理的なサーバーを複数用意する必要がなくなり、ハードウェアコストや運用コストを削減できます。
迅速なデプロイメント: アプリケーションWPARは軽量であるため、迅速な展開が可能です。

まとめ

WPARは、AIX環境における強力な仮想化ソリューションであり、システムの効率性、柔軟性、セキュリティを大幅に向上させることができます。システムWPARとアプリケーションWPARを使い分けることで、様々な要件に対応することが可能です。また、Live Application Mobility機能により、システム運用における柔軟性がさらに高まります。

関連項目

仮想化
LPAR (Logical Partition)
FreeBSD jail

外部リンク

Basic management of Workload Partitions in AIX, IBM developersworks
Workload Partitioning (WPAR) in AIX 6.1, IBM developersworks
* AIX バージョン 6.1 IBM AIX ワークロード・パーティション - IBM

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