X-35 (航空機)

X-35 概要

X-35は、アメリカのロッキード・マーティンが開発した試作戦闘機であり、統合打撃戦闘機計画（JSF）に基づいて製造されました。この機体は、技術実証を目的としており、主に空軍のCTOL型のX-35Aと、海軍向けのCATOBAR型のX-35Cの2つのバリエーションが存在します。これに加えて、X-35Aは後にSTOVL型のX-35Bに改修されました。X-35CもB型仕様に改造できる設計となっており、それぞれの機体の設計共通性や性能を確認するためのベースとなる機材です。

X-35は量産機であるF-35と基本的に同様の設計がなされており、コックピットデザインには従来型のグラスコックピットとHUD（ヘッドアップディスプレイ）が搭載されています。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー製のF119が使用されており、競争機であるX-32といくつかの相違点があります。空中給油の方式は、空軍式のリセプタクルが採用されていますが、X-32とは異なり、海軍式のプローブは使用されておりません。

リフトファン技術

X-35Bに搭載されたリフトファン技術は、過去のVTOL機で用いられていたリフトエンジンに類似してはいるものの、新たな方式を取り入れています。このシステムでは、リフトエンジンの代わりにリフトファンを利用し、従来の技術とは異なるところがありました。リフトファンからの排出空気は未加熱のため、高温のエンジン排気と混ざることを防ぎ、エアインテークの温度を周囲よりも少し高いレベルに維持することが期待されています。試験では、この理論の正確さが確認され、ホバリング中のインテーク温度は周囲の外気とほぼ同じであることが証明されました。

リフトファンに関連する設計では、左右に開く二枚の吸気ダクト扉が用いられましたが、後のF-35Bではこの部分が簡素化されました。また、この機体は3ベアリング回転ノズルを持ち、可変推力ノズルとアフターバーナーを搭載していますが、Yak-141との関係が噂されているものの、その設計はYak-141の参考ではないとされています。

初飛行と試験結果

X-35Aの初飛行は2000年10月24日、X-35Cは同年12月16日に行われました。X-35AがX-35Bに改修された後の初飛行は2001年6月23日であり、その後も短距離離陸から超音速飛行、最後に垂直着陸を成功させる「ミッションX」が実施されました。この一連の試験において、合計139ソーティ（各型ごとに異なる時間が飛行され、合計116.9時間）を経て、飛行試験はすべて終了しました。

仕様

X-35の詳細仕様は以下の通りです：

• - 乗員：1名
• - 全長：15.37m（50.6ft）
• - 翼長：10.65m（56ft）
• - 全高：5.28m（19.03ft）
• - 翼面積：42.74m²（459.6ft²）
• - 最大離陸重量：27,220kg（60,000lb）
• - 空虚重量：11,793kg（26,000lb）
• - エンジン：プラット・アンド・ホイットニー F119-PW-611 ターボファンエンジン
• - 推力：28,100lbf（125kN）、アフターバーナー時は43,000lbf（191.35kN）
• - 最大速度：マッハ1.6（1,200mph、1,930km/h）

武装

• - M61A2またはマウザー BK-27×1
• - AIM-120 AMRAAM×4

このように、X-35は将来のF-35の開発における重要なプロトタイプとなりました。

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