X-49 (航空機)

X-49 スピードホーク（X-49 Speed Hawk）

X-49スピードホークは、アメリカ陸軍がパイアセッキ・エアクラフト社と共同で開発した複合ヘリコプターであり、2007年6月29日に初飛行を行いました。この機体は、海軍の要求に応じて1990年代からの研究を基にしており、特に機動性を高めるための新しい推進システムに焦点を当てられています。

開発の背景

アメリカ海軍は、ヘリコプターの機動性の向上を目的として複合推進設備に着目し、1990年代よりその導入を模索してきました。その結果、新たな推進方法として尾部にダクテッドファンを搭載するVTDP（Vectored-Thrust Ducted Propeller）技術が選定されました。パイアセッキ社は1960年代からの経験があり、初期のダクテッドファンを用いた複合ヘリコプターの設計に関与していました。

2000年、海軍はYSH-60Fの改修を決定し、パイアセッキ社と合意のもと、ダクテッドファンを取り入れた機体の開発が進められました。2003年にX-49Aという名称が与えられ、その後2004年には開発が海軍から陸軍に引き継がれました。

機体の構造

X-49Aの設計は、SH-60の胴体をもとに、固定翼を追加し、尾部にはダクテッドファンを装備しています。このダクテッドファンは推進力を提供するだけでなく、制御翼を通じて風向を調整し、トルクの制御を行うための機能を担っています。また、振動を抑える効果もあり、操縦の安定性が向上しています。

固定翼は前進時に揚力を生み出し、メインローターへの負担を軽減することによって、全体の効率を高めます。その操縦方法は、従来のヘリコプターと大きな違いはありませんが、複合ヘリコプターの特性を生かすことで、速度向上に貢献しています。

技術の進化

従来の複合ヘリコプターは技術的な複雑さから高価になりがちでしたが、近年のローター制御技術の進展により、その必要性が再評価されました。また、ヘリコプターの速度は限界に達しているため、この新たな設計は高速度飛行の実現を目指しています。X-49Aでも、より一層の推進力強化が目指され、360km/hの高速飛行を実現することが期待されています。

諸元と性能

X-49Aの主要な諸元は以下の通りです。

• - 全長: 64 ft 10 in (約19.76 m)
• - 全高: 17 ft 2 in (約5.23 m)
• - 空虚重量: 13,669 lb (約6,200 kg)
• - 最大離陸重量: 21,892 lb (約9,930 kg)
• - 発動機: 2基のゼネラル・エレクトリック T700-GE-401C ターボシャフトエンジン
• - 主回転翼の直径: 53 ft 8 in (約16.36 m)

性能面では、最大速度は146ノット（約168 mph、270 km/h）に達し、航続距離は381海里（約438マイル、706 km）、実用的な上昇限度は19,000フィート（約5,790 m）、初期上昇率は2,296.5フィート/分（約11.666 m/s）です。

関連プロジェクト

X-49Aは、統合多用途・将来型垂直離着陸機計画など、他の先進的な航空機プロジェクトとも関連があります。近年では、シコルスキーX2やユーロコプターX3といった新しいヘリコプター技術に対する研究も進められており、X-49Aはその中でも特に注目されています。

このような技術の進化は、今後の航空機の性能向上に向けた重要な鍵となるでしょう。

もう一度検索