XB-42 (航空機)

XB-42 ミックスマスター

XB-42ミックスマスターは、アメリカ合衆国のダグラス・エアクラフト社によって第二次世界大戦中に進められた試作爆撃機の一つです。この機体は、従来の飛行機設計に革命をもたらすことを目的として、多くの革新的な設計が施されていました。

開発の背景

B-42計画は、当初、アメリカ陸軍航空軍からの具体的な要請があったわけではなく、ダグラスは自社資金でこの機体の開発を始めました。その後、1943年5月に軍からの開発計画が提示され、試作機2機と機体構造試験機1機の受注を得ることができました。最初は中型攻撃機として計画されていましたが、後に爆撃機として位置付けられ、XB-42という名称に変更されました。ダグラスは第二次世界大戦の戦局の中で、爆撃機や輸送機の大量生産に追われていましたが、XB-42の開発は順調に進み、1944年5月6日に初飛行を果たしました。

機体の設計

XB-42は、空気抵抗を徹底的に減少させることを目的とした設計が特徴です。一般的な爆撃機はプロペラを機体前方に取り付けていましたが、XB-42は推進式プロペラを採用し、機体後部に配置していました。この設計により、流れる気流の撹乱を減少させ、空気抵抗を最小化することを目指しました。また、機体には防御用の機関銃が内蔵されており、使用時には遠隔操作によって銃身が開く構造が採用されています。

操縦席は、風防の形状が独特で、2名の操縦士にほぼ360度の視界を確保するために左右に分かれた水滴型キャノピーが設置されていました。しかし、この方式は両者の意思疎通に障害をもたらし、緊急事態に対する迅速な対処が難しくなる恐れがありました。これにより、操縦士たちには不評でした。

エンジンとプロペラ

XB-42は、アリソン社の液冷式V-1710-V型12気筒エンジンを2基搭載していました。このエンジンは、航空機の戦闘機に多く使用されていたもので、爆撃機としては珍しいタイプでした。プロペラは二重反転式が採用されており、これにより空気抵抗の減少とプロペラ効率の向上が図られていました。総じて、この設計は技術的な挑戦を伴いましたが、XB-42では成功を収めました。

性能

XB-42は、1944年12月にアメリカ大陸を横断する際に704Km/hという平均速度での飛行記録を打ち立て、高速性能を証明しました。しかし、戦後にはレシプロ爆撃機の役割が減少し、XB-42は制式採用されることはありませんでした。

その後の開発

XB-42のうちの一機は事故で失われ、残りの一機は改良型のXB-42Aに改造されました。この機体は、ジェットエンジン2基を主翼に取り付けることで、新たに改造され、最高速度785km/hを達成しましたが、最終的には着陸時の損傷により退役しました。

ダグラス社は、XB-42の設計を基にした純ジェット機、XB-43ジェットマスターも開発しましたが、こちらも制式採用には至りませんでした。第二次世界大戦後、アメリカ空軍においても全ての爆撃機がジェット機化される流れの中で、XB-42は過去の実験機としてその存在が消えていきました。

結論

XB-42は、当時の航空機技術を駆使した革新的な機体でしたが、運命的に実戦の枠から外れ、試作の域を出ない機体となりました。その設計思想や技術的挑戦は、後の航空機開発に多大な影響を与えたと言わざるを得ません。

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