XF2R (航空機)

XF2R ダークシャーク

XF2R ダークシャーク（Ryan XF2R Dark Shark）は、アメリカ海軍向けに設計された実験機で、特異な構造を持つ複合動力機です。本機はターボプロップエンジンとターボジェットエンジンの両方を搭載し、当時の航空技術の最先端を体現しています。

概要

ダークシャークは1944年から1945年にかけてライアン・エアロノーティカル社によって開発されました。基となったのは、FR ファイアボールという機体で、もともと搭載されていた空冷星型レシプロエンジンを改良し、ゼネラル・エレクトリック社製のT31ターボプロップエンジンに変更。これにより、出力は2,300軸馬力に達し、ハミルトン・スタンダード製の4翅型プロペラブレードが装備されました。この改装により性能が向上しましたが、当時アメリカ海軍は複合動力機の開発をあきらめ、ジェット戦闘機へと移行していたため、ダークシャークに対する関心は薄れてしまいました。

しかし、アメリカ空軍は同様のコンセプトを持つコンベア XP-81戦闘機の評価を行っており、XF2Rに対してある程度の関心を寄せました。それを受け、ライアン社はこれまで使用していたゼネラル・エレクトリック J31 ターボジェットエンジンを、より強力なウェスティングハウス J34 ターボジェットエンジンに換装することになりました。この新たなエンジンを搭載した機体には、XF2R-2という形式番号が与えられました。

XF2R-2は、-1型の主翼前縁にあった空気吸入口を前部胴体側面に再配置し、NACAダクトを設けるなどの改良がなされました。これにより性能の向上が期待されましたが、結局アメリカ空軍は全ジェット動力機の方が高性能であるとの判断を下し、ダークシャークの開発は試作段階のままで終了しました。要するに、操作性能や有用性が認められるも、時代の進展により開発が続行されることはありませんでした。

諸元

乗員: 1名
全長: 10.97 m
全幅: 12.80 m
全高: 4.27 m
翼面積: 28.3 m²
翼面荷重: 176 kg/m²
搭載重量: 4,990 kg
エンジン:
- 1 × ゼネラル・エレクトリック J31 ターボジェットエンジン (1,600 lbf)
- 1 × ゼネラル・エレクトリック T31 ターボプロップエンジン (1,760 hp)
最大速度: 800 km/h
巡航高度: 11,900 m
上昇率: 24.64 m/s
武装: AN/M2 0.50 in 機銃×4（主翼内）

ダークシャークは航空機の歴史の中で、その独自性と試行錯誤を代表する存在として、特異な位置を占めています。

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