XF5U (航空機)

XF5U: アメリカ海軍の円盤型艦上戦闘機

XF5Uは、アメリカ海軍の依頼に基づいてヴォート社と技師チャールズ・H・ジンマーによって設計された艦上戦闘機です。この機体は、その独特な円盤形状から「フライング・パンケーキ（Flying Pancake）」や「フライング・フラップジャック（Flying Flapjack）」といった愛称で呼ばれています。

概要

XF5Uの設計の際、ヴォート社は円盤翼の特性に注目しました。広い翼面積は高い揚力を生み出し、失速のリスクを減少させるため、さまざまな速度での飛行が可能になる点が特徴です。1942年11月には、80馬力を持つエンジン2基を装備した試作機「V-173」が初飛行を果たし、エンジンの性能に若干の問題を抱えつつも高い飛行能力を示しました。その際、V-173の形状が空飛ぶ円盤と誤認されたこともあると言われています。

この成功により、1944年7月には実用機の開発が決定され、XF5U-1の名称で試作機2機が米海軍から発注されました。XF5Uは、短距離離着陸能力や優れた速度性能、機動性を持つ機体として期待されていましたが、実際の飛行テストには至らず、開発は急遽中止されることになりました。

開発が中止された理由としては、第二次世界大戦が終結し、ジェットエンジンの進歩によりレシプロエンジン戦闘機の需要が低下したことや、兵器の取り付けに関する問題が挙げられます。特に、機体前方の設計がロケット弾などを装備するには不利であったため、運用が難しかったと言われています。

開発の経緯

XF5Uは高い優先度で開発が進められましたが、その革新的な設計ゆえに試作機の製造が遅延しました。また、ヴォート社は他機の開発や生産に追われていたことも影響しました。試作機は1745年8月に完成されましたが、期待されたSTOL性能を向上させる新型4翅プロペラの開発が間に合わず、F4Uコルセアのプロペラを応急処置で装着することになりました。このため、設計通りの性能を発揮することができず、初飛行は行われることなく、地上試験のみが続けられる結果となりました。

1947年になって新型プロペラが完成したものの、米海軍はその年の3月にXF5Uの開発を中止する決定を下しました。試作機は雲居を得ない状況に置かれ、開発中止の直後にスクラップ処分されてしまいました。この機体は耐久性が高く、特許製品のメタライトを使用していたため、通常のスクラップ処分方法では処理できず、その強度を示す結果となりました。

機体の特徴

XF5Uは円盤型の主翼と中央部に配置された2基のR-2000-7エンジンを持ち、操縦席は機体の中心軸上に設計されております。双垂直尾翼と主翼後方には水平尾翼が配置され、飛行性能を支えています。特にSTOL性能の向上を図るための特殊なプロペラの開発が求められましたが、これに手間取り、試作機には一時的にF4Uのプロペラが装着されていました。

現在の状況

XF5Uは製造された2機とも廃棄されてしまうため、現存する機体はありませんが、試作の際に作られたV-173は1機が現存しています。また、V-173のレプリカも造られました。

登場作品

XF5Uは多くの作品に登場しています。小説やゲームで「XF5U-1」として描かれており、特に『艦隊これくしょん -艦これ-』や『World of Warplanes』などに登場しています。また、映画や小説の中でもその名を見かけることが多く、広く認知されています。


以上のように、XF5Uは設計段階から多くの革新性を担いながら、運用に至らなかった悲運の機体として、その歴史が語り継がれています。

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