XF8B (航空機)

Boeing XF8B（Boeing XF8B）

Boeing XF8Bは、アメリカ海軍向けにボーイング社が開発した艦上戦闘機です。この機体は、海軍が求めたさまざまな戦闘機能を兼ね備えた「ファイヴ・イン・ワン・ファイター」として開発され、特にその大きさと長い航続距離が印象的な一機となりました。残念ながら、第二次世界大戦の終戦に伴う海軍の需要の減退から、正式に採用されることはありませんでした。

開発の背景

1943年、アメリカ海軍は日本海軍の航空機が長距離性能に優れていることを懸念し、それに対抗するための新しい迎撃および護衛戦闘機の開発を各航空メーカーに依頼しました。この仕様では、「最大速度550km/h以上」「急降下爆撃や雷撃機としても使用可能」といった高い性能を求めており、非常に要求の厳しいものでした。数十年ぶりの艦上戦闘機開発となったボーイング社は、28気筒の高出力エンジンを搭載し、3翅2重反転プロペラを採用した設計を考案しました。これにより、機体はモデル400として知られるプロトタイプに発展し、1943年4月に試作機3機の製造が決定しました。

初飛行と性能

XF8Bの初飛行は1944年11月27日に行われ、1945年3月には海軍に引き渡されました。ただし、第二次世界大戦中に完成したのはこの1機のみであり、他の2機は戦後に完成しました。試作機は性能面では優れた特性を示しましたが、機体サイズが大きいために運動性能がやや犠牲になってしまい、戦闘機としては軽快さに欠ける結果となりました。また、戦争の終結に伴い新型攻撃機の開発が進み、本機の必要性は急速に減少しました。これにより、最終的に試作機3機の生産のみでプロジェクトは終了しました。

機体の設計と構造

XF8Bの機体設計は、一般的な低翼単葉機の形状を有しており、大出力エンジンと独自のプロペラ構造を組み合わせることで、機体のサイズを大きくしながらも軽快な運動性能を追求しました。主脚は90度回転して後方に収納でき、カーチスP-40と同様の形態を取っています。また、主翼は直線テーパー翼となっており、外翼部分を上方に折りたたむことが可能です。コックピットは単座型で、涙滴型のデザインが特徴的です。

機体の胴体には爆弾倉が設けられており、各種の爆弾や航空魚雷を搭載できるほか、補助燃料タンクに換装して航続距離を延長することも可能でした。これにより、本機は単発艦上戦闘機の中でも最大級のサイズを誇り、当時主力であったF6Fと比較しても、その全幅は大きく、機体重量は第二次世界大戦中に製造された単発戦闘機として最も重いものでした。

諸元

• - 型式: XF8B-1

- 唯一の型式であり、57984、57985、57986の3機が製造されました。

関連項目

• - 艦上戦闘機

このように、Boeing XF8Bはその特異な設計と高い航続性能を有しながらも、歴史の流れに翻弄されて出番を得られなかった艦上戦闘機として記憶されています。

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