XFV-12 (航空機)

XFV-12: ロックウェル・インターナショナルの艦上戦闘機

XFV-12は、1970年代にアメリカのロックウェル・インターナショナルによって開発された垂直離着陸機（VTOL機）です。この機体は、アメリカ海軍の制海艦（SCS）構想に基づき、艦上戦闘機としての役割を果たすことを目的に設計されました。特に、ホーカー・シドレーのハリアーが成功したことで、垂直離着陸能力と共に、高速飛行（マッハ2以上）の性能が求められました。

1972年に開発が始まり、その後の設計においては、F-4戦闘機に由来するエアインテークや翼桁、さらにはA-4のキャノピーを流用するなど、先進的な部品が組み込まれました。試作機の初公開は1977年8月26日、オハイオ州コロンバスにあるロックウェルの工場にて行われました。

試作機は、ハンス・フォン・オハインが発案したオーギュメンター・ウイングという革新的な設計を採用しており、低翼のカナードと高翼の主翼の後縁には独特な吹出しフラップが取り付けられていました。これにより、胴体後部に設置されたターボファンエンジンの排気がダクトを通じてフラップに導かれ、下方に噴射されることによって周囲の空気と合流し、推力を増加させることを狙っていました。また、排気による甲板の損傷を防ぐための工夫も施されていました。

計算上では、エンジン推力の55%に相当する上向き推力が得られるはずでしたが、実際の飛行には至りませんでした。システムの実験はクレーンで吊り下げた状態で6ヶ月間続けられましたが、実際の機体は垂直離着陸を実現することができませんでした。その原因は、予想を下回る推力の低下や、長規模なダクトの影響で力を生み出すことができなかったためです。

開発が進む中、当初の制海艦構想が見直されることになり、これに伴い予算が大幅に削減されました。その結果、試作機は2機製作されたものの、1981年にはプロジェクトが放棄されました。残った2機も1984年に完全に解体されてしまい、現在はその痕跡さえも存在しません。

諸元・性能

• - 乗員: 1名
• - 全長: 13.39 m
• - 全高: 3.15 m
• - 翼幅: 8.69 m
• - 翼面積: 27.2 m²
• - 運用時重量: 6,259 kg
• - 最大離陸重量: 11,000 kg
• - 動力: P&W F401-PW-400 アフターバーナー付ターボファン、133.4 kN × 1
• - 最大速度: マッハ2以上

このように、XFV-12は垂直離着陸機としての候補として期待されたものの、最終的には実運用には至らなかった背景を持つ機体なのです。

もう一度検索