XGworks

XGworks（エックスジーワークス）とは

XGworksは、ヤマハが開発したMIDIシーケンスソフトウェアです。ヤマハが提唱するXGフォーマットのシンセサイザーのパラメータ編集機能を備え、高い親和性を持っています。このソフトウェアは、単なるMIDIシーケンサーとしてだけでなく、楽曲制作のための包括的なツールとして、多くのユーザーに利用されていました。また、初心者向けの派生ソフトウェアや、XGworksをベースにしたデジタルオーディオワークステーション（DAW）も登場しました。

XGworksの主なバージョン

XGworksは、Windowsプラットフォーム向けに複数のバージョンがリリースされました。

V1.0～V4.0
主に最終版であるV4.0について解説します。このバージョンでは、数小節分のパート譜を「ブロック」として扱い、トラックビューウィンドウ（総譜）上で作成、移動、複製することで楽曲を構成します。
特徴的な機能として、リンクブロックの作成が挙げられます。これは、既存のブロックへのリンクを作成するもので、参照元のブロックを編集すると、全てのリンクブロックの内容が同期されます。これにより、ドラムパートの繰り返しやユニゾン、ディレイなどの表現が容易になりました。
また、トラックビューウィンドウに反復記号を配置することで、全てのトラックの演奏位置を制御可能です。これにより、より直感的なデータ記述が可能となりました。
各ブロックは、音符入力、ピアノロール入力、数値入力、ドラム譜で編集でき、コントロールチェンジは3パラメータ同時編集が可能です。さらに、多彩なジャンルの自動伴奏機能や、メロディに合わせた伴奏を自動で生成するオートアレンジャー機能も搭載されています。
その他、波形編集ソフト「Wave Editor TWE」、XG音源を視覚的に操作できる「XGEditor」、歌声をMIDIデータに変換する「ボイストゥスコア」、ギターの和音入力など、多彩な機能が搭載されています。
特に、譜面画面での編集機能は、多くのMIDIエディターがピアノロールをベースにしている中で、XGworksの大きな特徴です。
「HELLO!MUSIC!」シリーズのメインアプリケーションとしてバンドルされ、機能削減版の「XGworks Lite」は音源モジュールにバンドルされました。
V4.0では、Windows NT/2000に対応し、「XGEditor」の対応音源にMU2000／MU1000が加わりました。

V3.0 for Macintosh
Mac OS向けにもV3.0がリリースされました。Windows版V3.0をベースにしていますが、添付の「XGEditor」はV4.0に準拠しています。

初心者向け派生ソフト

XGworksからは、初心者向けの派生ソフトとして、「らくらく作曲名人」と「めちゃらく作曲名人」がリリースされました。

らくらく作曲名人/らくらく作曲名人2
XGworksの基本的なMIDI関連機能を継承しつつ、音色選択やエフェクト選択を簡単に行えるようにしました。カラオケ機能も搭載されています。
作成したファイルはXGworksで再生可能で、「らくらく作曲名人2」はWindows NT/2000に対応しました。

めちゃらく作曲名人
さらに曲の作成方法を簡略化した初心者向けのソフトです。

デジタルオーディオワークステーション「SOL」シリーズ

XGworksをベースに開発されたデジタルオーディオワークステーション（DAW）が「SOL」シリーズです。

SOL / SOL2
MIDIシーケンス機能はXGworksを継承しつつ、128chのオーディオミキサーなどオーディオ機能を大幅に強化しました。また、複数のファイルを開くことが可能になりました。「HELLO!MUSIC!AUDIO」シリーズのメインアプリケーションとしてバンドルされました。
後継の「SOL2」では、VSTプラグインに対応し、ソフトウェア音源「S-YXG50」のVST版のほか、3種類のVSTプラグインソフトが添付されました。
インターフェース上の大きな変更点として、ブロック編集ウインドウが独立表示となり、複数のブロックを平行して編集する際に、タスクバーに多くのボタンが表示されるようになり、操作上の煩雑さが生じました。
SOL2の機能はCubase4以降に引き継がれています。

SQ01/SQ01 V2
SOLシリーズの機能削減版として、デジタルオーディオ機器にバンドルされました。

XGworks ST
「SOL Technology」の略。XGworksを名乗っていますが、V4.0の後継ではなく「SOL2」の機能削減版です。
オーディオチャンネルが8chに削減され、タイムスライス／タイムストレッチ機能が削除され、添付のVSTプラグインソフトはS-YXG50（VST版）のみとなりました。

生産とサポートの終了

「SOL」と「XGworks」シリーズの生産は2008年3月に完了し、サポートも2009年3月をもって終了しました。

参考文献

『DTMハンド・ブック』 相良侑亮、新拓也、澤田眞一、山崎潤一郎、山田栄 1999年 株式会社ドレミ楽譜出版社 ISBN 4-8108-9626-9

外部リンク

SOL製品情報
SOL2製品情報
XGworks 4.0製品情報
* XGworks ST製品情報

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